NEWS | 建築
2019.05.20 16:15
イギリスの映画文化を支える英国映画協会(BFI)。同協会が運営するBFIサウスバンクは、イギリス最大の独立系映画館と国立フィルムアーカイブが入居する施設である。
この施設は、1950年代にウォータールー橋のアーチ下に「ナショナルフィルムシアター」としてスタート。テムズ川に面した絶好のロケーションだが、建物は老朽化し、メインエントランスや複合施設全体の通路も時代に合わず、多くの観客を収容するにはふさわしくなくなっていた。
そこでCarmody Groarkeによる改修プロジェクトでは、ウォータールー橋の下に東西方向に片持ちにした、大きなキャノピーのある新しい外観とエントランスを構想。橋の下にある「穴蔵」という映画館のデザインは変えずに、ランドマークとして川の両岸から見えるようにし、どの方向からでも入れるゆったりとしたエントランスを設けた。さらに、歩道レベルに待合スペースを充実させ、上階には新しいVIPルームとテラスを設置。
ウォータールー橋の老朽化したブルータリズムには、キャノピーをわざとローテクにして、バックライトを当てることで、サウスバンクの公共建築のなかで文化的な存在感を強調。1階はすべてガラス張りのスライドドアで、屋内と公共エリアの境界を曖昧にした。
外装とは対照的に、新しい部屋の内部や改装された公共スペースは意図的に暗くして、映画を観る雰囲気を高めることで、映画芸術を組織する機関としての責任感も示している。