トヨタが3代目「センチュリー」の生産を担う
東富士工場の匠の技を紹介

日本唯一のショーファーカー(専属の運転手がいるオーナー向けの車)であるトヨタ「センチュリー」。2018年6月のフルモデルチェンジにより、3代目センチュリーが誕生したが、生産を担うトヨタ自動車東日本 東富士工場の匠の技が公開されている。

歴代センチュリーは1台ずつ手作業でつくられてきた。ほかの車の工場とは大きく異なるのは、車を次々と送る長い生産ラインがないこと。「クラフトマン(職人)」と呼ばれる少数精鋭・熟練の作業者により、まるで作品を創るかのように車がつくられていく。

エクステリアデザインにおける注目点のひとつは、サイドボディのキャラクターラインに施された「几帳面」だという。緻密さが求められる細工で、熟練の作業者の手でわずかな面の歪みを修正しながらこの几帳面が仕上げられている。

外板色設定は4色展開だが、なかでも代表的な色は新規開発のエターナルブラック「神威(かむい)」。センチュリー独自のプロセスにより、奥深い艶と輝きをもつ漆黒を追求した。生産開始前には石川県にある輪島塗の工房を訪れ、日本伝統工芸の漆塗りも学んだ。

タワーコンソールの取り付けも手作業で、左右への傾き度合いを感じ取り、傾きを調整するボルトを回していく。数値化できるものではなく、トヨタで「カン・コツ」と呼ばれる、人の感覚や熟練度への信頼で成り立つ作業だ。

また、生産されるすべての車両に対し、各工程を終えるたびに、担当した作業者の名前や日時とともに検査結果を「ヒストリーブック」に記録。手作業で時間をかけて丁寧につくり上げられるセンチュリーだからこそ、1台が誕生するまでの軌跡が大切に刻まれている。End