東京都23区全域を網羅するリアルタイム浸水予測システム
早稲田大学・東京大学らが共同で開発

▲2005年杉並豪雨を対象としてS-uiPSにより計算された東京都23区の浸水深マップ

近年は地球規模での気候変動の影響が顕著化してきており、未曾有の豪雨が発生すれば東京でも深刻な浸水の発生は避けられない状況となってきている。そこで、早稲田大学東京大学、およびリモート・センシング技術センターの研究グループは、東京都23区で発生する都市浸水をリアルタイムで予測するシステムを開発した。

この研究では、平常時に生活範囲に潜んでいる浸水の危険性を住民自らが的確に理解できるような画像情報を提示できるようになることと、豪雨時に迫りくる浸水の状況を住民に事前に伝えるシステムを構築することを目指した。

研究の第一段階として、東京に代表される高度に都市化されたエリアを対象に、「都市浸水」の発生とこれが深刻化するプロセスについて、水の流れを支配する力学原理のみに基づいて精緻に予測する手法「S-uiPS(スイプス)」を開発。第二段階として、S-uiPSの計算コードを高速化し、リアルタイムでの浸水予測が可能となるように取り組んだ。

リアルタイムで浸水を予測するシステムは、まず東京都23区を対象に、2019年6月末までには試行運用を開始する予定。その後、一年の準備を経て2020年夏の東京オリンピック・パラリンピックまでには、十分な精度を有する浸水情報を継続的に提供できるような安定した運用を目指し、システムの社会実装を進めるそうだ。End