ヴェネツィアのパブリックアート「Red Regatta」
赤い帆の船団が気候変動とマスツーリズムに警鐘を鳴らす

イタリア・ヴェネツィアでは、2019年5月から11月までヴェネツィア・ビエンナーレの開催に合わせて、「Red Regatta」というパブリックアートプロジェクトが展開されている。

ニューヨークのアーティスト Melissa McGillによるもので、ヴェネツィアの海の歴史を祝い、その未来を脅かす気候変動とマスツーリズムの脅威に警鐘を鳴らす大規模なイベントだ。

プロジェクトの中心となるのは、手塗りの赤い帆が掲げられた伝統的な帆船「vela al terzo(ラグスル)」。これを52隻もヴェネツィアの運河に展開するのだ。ヴェネツィア・ビエンナーレの期間中、同地のさまざまな地点にRed Regattaが出るそうで、街中の見晴らしのよい場所から見ることができるという。

また、Red Regattaは、「Clean Regattas」と呼ばれる水のイベントの持続可能性を認証するプログラムにおいて、アートワークとして初めて登録されたものだそうだ。このプログラムは、船乗りを結集させ、教育と行動を通じて海を保護することを目指している。

平らな船底と取り外し可能なマストをもつvela al terzoは、水路を通れるように設計されていて、千年以上の歴史がある。今回のプロジェクトでは、赤い船団が通り抜けることで、ヴェネツィアの街自体を、生命や情熱、警鐘や緊急性をこの色で表現しているのだ。End