小豆島の“食”を巡る旅。
島に移り住んだ店主による
「まめまめびーる」と
「TODAY IS THE DAY」

▲店内のタップから定番の「まめまめシリーズ」を注いでいただく。左より、季節の柑橘とカスケードホップでつくる柑橘ペールエール「あかまめまめ」、小豆島らしい醤油のもろみを使った黒ビール「くろまめまめ」、森製麹所の米麹と小豆島の米を使った「きんまめまめ」。330ml700円〜、180ml450円〜。3種飲み比べ1,300円〜もある。

7月19日(金)からいよいよ「瀬戸内国際芸術祭2019」の夏の部がスタート。「小豆島の“食”を巡る旅」の最終回では、夏本番の小豆島を満喫できる、最高に気持ちのいい2軒を紹介します。

島の豊さを伝える小さな醸造所「まめまめびーる」

多くの木桶造りの醤油蔵が残る醤(ひしお)の郷、小豆島はまさに醸しの島。清らかに澄んだ空気と水が育む環境には、さまざまな“醸しの神様”が宿るのだろう。それは醤油や日本酒だけでなく、ついに2017年春にはクラフトビールのつくり手も登場した。それが島唯一のクラフトビール醸造所「まめまめびーる」だ。

地元の豊かな素材を使った島ならではのビールを、坂手地区の高台にある古民家を改装した小さな工房でつくり続けている。高台からは坂手港の海が一望でき、まさにビールを嗜むには最高の立地だ。

▲この日はあいにくの曇り空だったけれど、晴れれば真っ青な瀬戸内の海が広がる。坂手港まで徒歩10分ほどの距離。Photos by Sohei Oya(記載のない写真すべて)

▲瓦屋根の古民家をリノベーションした醸造所。店内には角打ち的なL字型のカウンターがあり、ここで立ち飲みするのも実に楽しい。

醸造家であり店主の中田雅也さんは、会社勤務を経て、かねてから惹かれていたビール造りを学ぶため、2015年春に岡山市の「吉備土手下麦酒醸造所」へ入社。そこで1年ほど経験を積んだそう。200リットルのタンク2基で、小規模ながらユニークなビールを生み出している。

最近では地方の街や島々でその土地の個性を活かしたクラフトビールが増えていて、自分も“地ビール”を見つけては呑んでみるのが地方に赴く楽しみのひとつになっている。地酒のジャンルのなかでも、日本酒や焼酎に比べてビールは果物や野菜、ハーブなど、名産品を合わせてさまざまなフレーバーをつくり出せるのが面白いところ。中田さんも柑橘類や醤油のもろみ、米麹や香川県産小麦といった地のものを使い、まさに“地域に根ざした”ビール造りに果敢にトライしている。

▲味のあるラベルのデザインも「まめまめびーる」の魅力。ラベルは大阪のデザインスタジオ「UMA/design farm」が手がけている。定番の「まめまめシリーズ」4種類のほか、期間限定で登場する季節素材などを使った中田さんの意欲作「ナカタペールシリーズ」も見逃せない。「IP8」(写真右から3番目)も柑橘が後口にふわっと広がって爽やかだった。各540円〜(税別)。酒税法上は発砲酒に分類。

もちろん、単純に地のものを合わせればよいという訳ではないだろう。「あかまめまめ」はモルトの香りと旨味が柑橘(甘夏など)の清々しい香りと調和している。地元の醤油蔵のもろみを使った「くろまめまめ」は、黒ビール特有のローストモルトの重厚感ともろみの風味がまろやかな一体感をなし、どの品もバランスのとれた飲み心地を探求しているのが伝わってくる。きっと、それこそが醸造家の腕の見せどころであり、醍醐味なのだろう。店内は小さなスペースでありながら牛すじやチリコンカン、自家製塩麹の唐揚げ(メニューは日替わり)などビールの友となる絶妙なおつまみが用意されているのも心憎い。

▲醸造家の中田雅也さんは大阪出身。大学時代にニューヨークを旅し、ブルックリンのビール工場を訪ねたのをきっかけにブルワリーのクラフトビールに魅了される。一度聞いたら忘れない「まめまめびーる」というネーミングは、小豆島の「豆」だけでなく「まめまめしく醸す」という意味も込められているのだとか。

夏季は平日もオープン!夕暮れの海を眺めて呑める「きまぐれびーる屋台」

そして「まめまめびーる」にはもうひとつ、ビールが呑める格別の場所がある。それが醸造所の営業後に港にほど近い一画で開店する「きまぐれびーる屋台」だ。通常は土日祝日の夜だけだが、夏季は平日もオープン。さらに野外ビールには最高の季節、7月中旬〜8月末の間はお昼の14時から営業(変動あり)。ホリデーの特権である昼ビールに始まり、薄暮の余韻に浸りながら夜風に吹かれてもう1杯……。

ついついお代わりしたくなる屋台は、「島の素材を活かし、飲む場所やシーンを思い描く」という中田さんのビール造りをまるごと体感できる場所なのだ。

▲「きまぐれびーる屋台」は坂手港からすぐ。Photo by Masaya Nakata

まめまめびーる
住所:香川県小豆郡小豆島町坂手甲769
TEL:0879-62-8670
営業時間:12:00~17:00(16:30LO)
定休日:火曜、水曜
URL:https://www.mamemamebeer-shodoshima.com

きまぐれびーる屋台
営業時間:17:00〜23:00(22:30LO)、7月中旬〜8月末は14:00〜。夏季以外は17:30〜22:00(21:30LO)
定休日:水曜(夏季のみ)、夏季以外は土日祝のみ営業
*営業時間は変動するので上記URLを参照

心地よい波音を聞きながらハンドドリップコーヒーを「TODAY IS THE DAY」

さて、次なるは小豆島の美味しいコーヒーを探しに、コーヒーパトロールへ。「TODAY IS THE DAY -COFFEE & CHOCOLATE-」は、鎌倉からご家族と島に移り住んだ水野匠次朗さんが、2017年7月にオープンしたカフェ。場所はオリーブビーチという海水浴場の目の前。それもそのはず、以前は海の家だった物件をリノベーションした、絶好のロケーションだ。

▲「オリーブビーチ」の遊歩道沿いに建つ、オレンジ色の屋根の一軒家。海まで徒歩30秒!

▲店主の水野さん。オープン当初は鎌倉在住時代から懇意にしていた七里ガ浜のロースタリーの豆を使っていたが、1年ほど前から自身で手がけるように。焙煎機は「フジローヤル」の3kg釜を愛用。

カフェの看板メニューはもちろん、自家焙煎のコーヒー。良質なスペシャルティコーヒーの豆を水野さんが自ら焙煎し、丁寧にハンドドリップしてくれる。中煎りでライトに甘みを引き出したブラジルは、あいにくの雨で冷えた身体にじんわり染み渡るようだった。

▲水野さんが焙煎する豆は店内で購入可能。写真のシングルオリジンのほか、小豆島をイメージした「ISLAND」などオリジナルブレンドもある。100g500円〜。

小腹が空いたら、人気ベーカリーのパンでつくるホットドッグを

フードメニューは香川産の小麦粉「さぬきの夢」を使ったサクサク&ふわふわのパンケーキや、無添加のソーセージを挟んだホットドッグなど。バンズはやはり、小豆島の人気ベーカリー「MORIKUNI BAKERY」の天然酵母パンだ。そして店名に “CHOCOLATE”とあるように、コーヒーと並ぶ店のおすすめがチョコレートドリンク。水野さんがお店をオープンする際、メキシコのハシータおばあちゃんが手づくりするという「オアハカチョコラテ」に出会い、その美味しさに感銘を受けてメインのドリンクメニューに。国内で提供しているのはまだごく少数とか。さまざまなスパイスを効かせた秘伝のレシピで、ミルクとともに手鍋で沸かしてつくるショコラドリンクはホッと心和む味。夏場はアイスで飲んでも最高だ。

▲本日は中煎りのブラジルを人気のホットドッグとともに。ミニポテト付き500円。四国産の無添加ソーセージと軽やかな「MORIKUNI BAKERY」の天然酵母パンとの相性もよし。シャルキュトリー好きも満足できる、大人の美味しさだ。コーヒー400円。マグカップは「KINTO」のもの。また、水野さんの奥様が手がける「HONEY&HERB」の美しいオーガニックハーブティーもある。

▲夏場は海を眺めるテラスが特等席! 潮風に当たりながらキリッと冷えたアイスコーヒーを飲む気持ちさときたら。そして昼ビールもまた、あらがいがたい……。

席に座り、眼前に広がる穏やかな海を見ていると、つい時間を忘れてぼんやりとしてしまう。でも、それこそがこのカフェの正しい過ごし方。左党の皆さんはテラス席で冷えたビールや瀬戸内のレモンを使った自家製レモンサワーも最高だし、水出しのアイスコーヒーやアイスチョコラテをテイクアウトして砂浜で楽しむのもいい。

「まめまめびーる」も「TODAY IS THE DAY -COFFEE & CHOCOLATE-」も、ともに小豆島に惹かれ、家族とともに移り住んだ店主が自分らしいかたちで島の魅力を伝える店。ついつい長居してしまう2軒に足を運んで、夏の小豆島滞在を心から楽しみたい。End

TODAY IS THE DAY -COFFEE & CHOCOLATE-
住所:香川県小豆郡小豆島町西村甲2019-2
TEL: 050-5278-0568
営業時間:水〜金13:00〜17:30LO、土11:00〜17:30LO、日13:00〜16:30LO
定休日:月曜、火曜
URL:https://www.facebook.com/todayisthedaycoffee/