HKSがウガンダ手がけた「Kachumbala Maternity Unit」
乳児死亡率が高い地域にできた新しい産院

アフリカ・ウガンダ東部の町 Kachumbalaは貧困地域のひとつだそうで、医療へのアクセスが限られており、乳児死亡率も高いという。

1950年代に作られた2部屋の施設はかなり古いもので、出産のために施設まで長い距離を移動してきても、妊婦のほぼ半数は収容できなかった。それゆえ、多くの女性は医師の立ち合いもなく自宅で出産し、感染症や合併症で母子の死亡リスクを高めていた。

そこで、建設設計事務所 HKSが手がけた「Kachumbala Maternity Unit」は、2つの分娩室と産後用のベッド7台を設け、1日6人以上の出産に対応できる新しい分娩室で、将来的には拡張も可能な柔軟性がある。設計はイギリスを拠点とする医療専門家が評価をし、この産院の助産師向けにもトレーニングを実施。

また、低コストで建設された施設は、地元の作業員約40人が参加し、建築材料の95%は地元産。持続可能でパッシブな設計は、電源が確実でなく天然資源が不足している場所では不可欠だ。換気と日除けは、モノピッチの屋根、調節可能な窓、テラコッタ製の仕切りのある廊下などにより確保される。

主な建築材である土壌安定用のブロックは現場で手作りされたもので、レンガプレスでセメントと地元の土壌「マラム(murrum)」を混ぜたものを使用。工具の必要性の下げ、コストの低減にも成功している。End