関祐介が京都・四条河原町で手がけた
「バング&オルフセン」のポップアップストア

オーディオブランド「バング&オルフセン(Bang & Olufsen)」が京都・四条河原町にオープンしたポップアップストアの設計を関祐介が手がけた。3か月で元衣料品店の2フロアを改装するプロジェクトで、衣料品ブランドの撤退とビル解体までの時間を埋めつつ、建物に新しい生命を効果的に与えている。

展示テーブルは関自身がデザイン。重しとなるコンクリートブロックはその場で固めたそうで、4面の型枠を作ってコンクリートを流し込み、固まってから2面だけを取り外して、残りをテーブルの脚としてそのまま使用したという。

型枠を活用するのは関自身が長年考えてきたデザイン。今回は神社建築で使われる高級素材の栂(ツガ)を使用し、たんなる副産物にとどまらず、新しい価値が生まれた。また、取り外した型枠も廃棄せず、建設プロセスを物語る痕跡としてストア内に飾られている。

こうした材料のリサイクルや廃棄物の削減に対する考えは空間設計にも反映。ポップアップストアであることを念頭に、もとからある材料できる限り再利用し、最小限の手段で最大の効果を実現するように努めたという。

壁と天井は解体中の状態で残され、かつて棚があった場所にできた空洞には写真を設置。1階奥には、京都の神社で見られる白い砂利を引くことで、この空間にある種の神聖な雰囲気が増した。つまり、音楽を聴く体験がすぐさま精神的な体験になることを示したのだ。

1階の壁には白いペンキを塗ることで、1階の2つの異なるエリアを結びつけた。2階では、ガラス板を1枚取り除くことで、以前はアクセスできなかったアトリウムが、熟考するための空間に生まれ変わった。End