NASAがアポロ17号による月の未開封サンプルを分析
アルテミス計画に向けて岩石や土壌を調査

▲上:2019年撮影/下:1974年撮影

NASAは、かつてアポロ17号が月から地球に持ち帰った未開封の岩石と土壌のサンプルを開封したと発表した。40年以上も前に採取された手つかずのもので、現在NASAが取り組んでいる「アルテミス計画(Artemis program)」で今後採取されるだろうサンプルを分析する際の練習台としたいという。

開封されたこのサンプルは、幅4cmほどの管に入っており、NASAの「Apollo Next-Generation Sample Analysis(ANGSA)」の一環として、かつては存在しなかった最先端のツールで分析しようとしている。

▲サンプル73001および73002を収集する準備をしているアポロ17号の宇宙飛行士 Gene Cernan

今回使用されるのは、非破壊3Dイメージング、質量分析法、超高解像度のミクロトーム法などだそうだ。

また、いきなり開封するのではなく、直前にはX線CTを使って、管のなかのレゴリス(岩石と土壌)の高解像度3D画像を撮影。実は1974年にもこのサンプルはX線写真撮影を行っており、その技術の違いは一目瞭然だ。

▲Credits: NASA/James Blair

▲Credits: NASA/James Blair

アルテミス計画では、宇宙飛行士が月の探査を行うにあたり、水や氷といった月の資源を活用して、ロケットの燃料や呼吸用の酸素を作ろうとしている。そこで、この未開封のサンプルを分析して、月の極地の氷の堆積物の詳細や、将来の探査に向けた他の資源の可能性についての知見を得ることを目標としているそうだ。End