MAD Architectsによる北京の旧市街活性化プロジェクト
金属製の球体が特徴的な「Hutong Bubble 218」が完成

建築家・馬岩松(Ma Yansong)が率いるMAD Architectsは、清王朝時代の北京に作られた305平米の歴史ある旧城壁内の路地街の修復・再建プロジェクト「Hutong Bubble 218」を完成させた。

急速な発展により老朽化や崩壊の危機に直面していた北京旧市街を活性化するための改修で、MADの小規模ながらもアーティスティックな取り組みによって、逆境にあるエリアに新しいスペースとプログラムを提供し、古いものと新しいものとの対話を促すという。

そこで、進歩は必ずしも大規模な変化や建設を必要としないという考えのもと、MADは金属製の球体を歴史地区のあちこちにちりばめ、老朽化して捨てられたコミュニティに新たな人や活動、資源を呼び戻すことを構想した。

紫禁城や天安門広場の近くに作られた「Hutong Bubble 218」は、球体のひとつが階段として1階と2階をつなぎ、屋上に出るとテラスが出現。独立した会議スペースやコワーキングスペースとなり、さらには中庭にも通じているそうだ。

「これは理想的なミクロユートピアです。これらの球体が新たに誕生した活気のある細胞となり、歴史ある胡同に新しい生命を吹き込んで、コミュニティが活性化することを願っています」と語る馬岩松。歴史的な文脈からすれば異質だろうが、未来的で超現実的な形状から神秘的なオーラが現れ、滑らかな鏡面には周囲の古い建物や木々、空が映りこんで、環境に溶け込んでいくことだろう。End

▲Photos : ©︎MAD Architects