国立科学博物館が植物のおしば標本から
非破壊的にDNAを抽出する新手法を開発

▲PexelsのKMLによる写真

国立科学博物館の杉田典正、海老原淳、神保宇嗣、中江雅典、細矢剛、遊川知久と福島大学の兼子伸吾、黒沢高秀の研究グループは、2020年1月24日発行のJournal of Plant Research誌において、植物のおしば標本のもとの形を損なうことなくDNAを抽出する方法を発表した。

近年、生物標本に残存するDNAを利用した研究が急増している。標本DNAを活用することにより、生物多様性、生態、環境などに関する貴重な情報を得ることができるからだ。

しかし、従来の植物のDNA抽出法では、おしば標本の一部を粉砕せざるをえなかった。したがって学名の証拠となる基準標本などの貴重な標本や小型植物の標本からは、DNAを使った研究を実施することが困難となっていた。

今回開発した手法は、標本の原形を維持したままDNAを抽出できるため、貴重な標本の情報を損なうことなく分子生物学研究への利用を可能とする画期的な技術開発と位置付けるもの。

またこの手法は、通常の植物DNA抽出法よりはるかに短時間かつ低コストで実施できることも大きなメリットで、通常の植物DNA抽出法としても普及が期待されるそうだ。End