次世代天文学を拓く新型の宇宙線望遠鏡を開発
極高エネルギー宇宙線で極限宇宙を観るプロジェクト

▲図:本研究のイメージ図(Image credit:Ryuunosuke Takeshige and Toshihiro Fujii (Kyoto University))

京都大学の藤井俊博 白眉センター特定助教らの研究グループは、極高エネルギー宇宙線による次世代の天文学「極高エネルギー宇宙線天文学」の開拓に向けて、新型宇宙線望遠鏡の開発を手がけている。

宇宙空間に存在する放射線は宇宙線と呼ばれ、1秒間に手のひらに約1個という頻度で地上に到来しているが、これまでの観測では、「極高エネルギー宇宙線」が存在することもわかってきたという。これは、「1年間に琵琶湖の面積に約1個」というとても低い頻度で到来する、莫大なエネルギー(10の20乗電子ボルト)を有する宇宙線のことだ。

このエネルギーは、世界最大の粒子加速器での到達エネルギーより7桁も大きく、宇宙のどこかに爆発的なエネルギーを生み出す発生源があると考えられている。また、極高エネルギー宇宙線は宇宙磁場の中をほぼ直進しており、その到来方向がわかれば発生源もわかるので、極限宇宙を観るための次世代の天文学として注目されているそうだ。

今回開発された新型望遠鏡は3基が米国ユタ州に設置され、極高エネルギー宇宙線の観測にも成功したという。極高エネルギー宇宙線の観測に特化した低コスト設計で、遠隔操作により自動的に観測を行うことが可能となった。

この望遠鏡を等間隔に並べて、これまでより1桁大きい範囲に到来する極高エネルギー宇宙線を観測するという将来計画を立てており、稼働中の宇宙線観測装置の測定結果を検証するためにも使用するとしている。End