2018年9月の台風で大阪市街に吹いた風の強さはどれくらい?
スーパーコンピューターでのシミュレーションに成功

▲本研究のイメージ図

京都大学の竹見哲也 防災研究所准教授をはじめとする研究グループは、2018年9月の台風21号の通過で大阪市街の中心地に吹いた風の強さを、スーパーコンピューターによるシミュレーションで調べることに成功したと発表した。

台風21号では、大阪市内の気象台観測点で観測史上歴代3位となる毎秒47.4メートルの最大瞬間風速を記録。駐車中の自動車が横転するなど、大阪市街地各所で大きな被害をもたらしたことは記憶に新しい。

ただ、市街地内では、局所的には気象台での観測値よりも強い風が瞬間的に吹いていたのではないかと考えられていたが、その実測値は存在していなかった。

そこで同グループは、台風や周囲の気象場のシミュレーションと、市街地内の気流のシミュレーションを組み合わせて、大阪市街地内での瞬間的な風の変動を計算機シミュレーションによって調査。

実際の気象データや御堂筋を中心とした市街地の建物や構造物のデータを組み込んでシミュレーションした結果、大阪中心街では場所によっては瞬間的に毎秒60メートルを超え、毎秒70メートルにも迫る暴風が吹いていたことが分かった。

ビルのあいだには吹き下ろすような猛烈な突風が、大通りや公園、オープンスペースではとくに風が強くなる可能性があり、大都市にひそむ暴風リスクに備える必要性はますます高まっているようだ。End