イギリスの映像作家 デレク・ジャーマンの遺産
「Prospect Cottage」がクリエイティブなスペースに

▲Derek Jarman at Prospect Cottage, Dungeness © Geraint Lewis

20世紀のイギリス文化でもっとも影響力のあるアーティストの1人である映像作家 デレク・ジャーマン(Derek Jarman、1942-1994)は、イギリス南東部、原子力発電所のあるダンジネス(Dungeness)という地に「Prospect Cottage」と呼ばれる小屋を作り、造園を手がけていた。

彼の死から25年以上が経つものの、その飾り気のない美しさをもつジャーマンの遺産に魅せられて、世界中から多くの人々がProspect Cottageを今なお訪問しているという。

▲Prospect Cottage © Howard Sooley

窓ガラスには詩が刻み込まれ、流木には彫刻を施し、庭園にはていねいに小石を敷き詰めるなど、この建築は彼の創造性と強い決意をすべてありのまま示しているのだ。

ただ、その維持は難しいようで、クラウドファンディングを実施。建物の保全だけでなく、今後アーティストたちがレジデンシープログラムなどを通じてクリエイティブなスペースとして使えることを目指し、目標額の350万ポンド(約4億6800万円)を上回る資金を集めることに成功した。

そして、美術館組織「テート」がジャーマンのスケッチブックや書簡、ドローイング、写真など、Prospect Cottageでもっとも重要かつ傷みやすいアーカイブ資料を半永久的に借り受け、テート・ブリテンのコレクションとして一般公開されるそうで、新しい研究や展覧会などに活用されることになっている。End