MAD Architectsが手がける「Quzhou Sports Campus」
中国・浙江省衢州市の景観を活かした広大な公共公園

馬岩松(マ・ヤンソン)が主宰するMAD Architectsが設計を手がける、中国・浙江省衢州市の「Quzhou Sports Campus(衢州スポーツキャンパス)」の全容が公開された。

同施設は、総面積は57万㎡を有する広大な公共公園。3万人収容のスタジアムをはじめ、1万人収容の体育館、屋内プール、屋外トレーニング施設、アスリート向けの施設や体験センター、科学技術博物館や子ども向けの遊技場も用意する。

衢州は長い歴史と美しい自然の景観を誇る文化都市で、面積の71.5%が森林だという。このプロジェクトにも自然な斜面や緑豊かな植物があり、プロットの既存の特性を最大限に活かすものとした。

地球の雄大な景観そのものをイメージした設計で、建物を地中に収納することでファサードは地形のなかに溶け込み、緑に覆われた景観そのものとなる。遊歩道を通すなど、この傾斜したファサード自体が運動できる場所として機能するほか、「建築に登る」ユニークな機会を提供。運動の後には芝生でリラックスすることもできる。

巨大なスタジアムは、雨よけの屋根のある観客席を設けることで、風景に美しく溶け込んでいる。観客席の上空に軽やかに浮かぶ雲が流れ、隣接する湖の形状とも響き合う、そんなインスタレーションのような構造である。

体育館は屋内がドーム型で、滑らかな屋根は幅130mのコンクリートシェル。構造の美しさや機能性は、競技用の照明設備を天井の構造内に組み込むことでできあがった。また、屋内プールは、3つのバブルが連なるようなデザインで、空間の連続したリズムを生み出すだけでなく、コストの低減にも役立っているそうだ。

一方、屋外ではバイクロードが公園の周囲を取り囲み、エクササイズエリアや歩行者・自転車向けのさまざまなルートはCO2を排出することなく楽しめる。

閉じたテーマパークではなく、都市や市民の日常生活に深く根差したスポーツパークを創出することを目指している。End