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2020.05.21 13:30
芝浦工業大学工学部機械機能工学科の細矢直基教授は、人工筋肉を高速で振動させて音を出すスピーカーを開発した。人が聞くことのできる音域ではほぼ無指向で、スピーカーを中心とした全方位に音を届けることが可能だ。
コンサートホールなどの室内音響の特性把握には、点音源を用いた音響試験で残響時間を計測することが理想だそうだ。それには筐体に複数の磁石とコイルからなる重いスピーカーが取り付けられた、正多面体スピーカーが用いられているが、スピーカーが音場に対して相対的に大きい場合には、点音源と見なせないという。
そこで細矢教授らの研究チームは、軽量かつ柔軟でありながら大きな変位を生み出す、誘電エラストマーアクチュエータ(Dielectric Elastomer Actuator、DEA)を半球形や球形にして振動させることで、全方位に音を届けるスピーカーを開発したのだ。これによって音場やスピーカーのサイズによらず、点音源を実現できるとしている。
DEAは高分子誘電膜を柔軟電極で挟み込んだキャパシタ構造で、電極間の電位差により電極同士が静電気力によって互いに引き合うことで変形。人工筋肉や発電デバイス(エナジーハーベスティング)、ソフトロボットなどへの応用が期待されている。