「Financial Times」がコロナウイルスによる
死者数の推移をグラフ化。世界の状況を
リアルに伝えるインフォグラフィック

当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウイルスの感染。この世界的危機と言える状況下では、多くの情報が行き交い、あっという間に現在が過去になっていくような変化の激しい日々が続いています。

“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを実践してきたクリエイティブユニットSPREADは、コロナ禍において行動を起こしたクリエイティブな活動をリサーチし、未来を考えるヒントを探ります。本ウェブでは、SPREADが特に注目するものを毎日1本ずつ紹介していきます。

今日のトピック

「Financial Times」のウェブサイトには、世界各国の新型コロナウイルスによる死者数の推移を示したグラフが掲載されています。インフォグラフィックを担当するのは、同紙のジャーナリスト、ジョン・バーン・マードック氏(John Burn-Murdoch)を中心としたデータ視覚化チーム。情報は定期的に更新されています。

SPREADはこう見る

今、世界で何が起きているのか?それが一目でわかるインフォグラフィックです。可能な限りたくさんの人に見てほしい。

このグラフは、コロナウイルスによる死者数を調査し、数値を示すことでいま置かれている状況を的確に伝えるために制作されました。扱われているデータは、各地域の合計死者数の推移の他、国ごとの外出規制の厳格度と実施期間の比較にまで及びます。Financial Timesグラフ掲載サイト

人の死に関する調査というのは、とてもデリケートなものであり、正確性はもちろんのこと、その伝達方法にも最大限の配慮が必要とされます。その重責を担い、詳細な情報を公開し最新情報を更新する対応に、「Financial Times」のメディアとしての姿勢を感じます。SNSをはじめ情報発信の数が増えているなかで、媒体の公共性と情報の信憑性の高さは新聞ならではのものでしょう。背景色に使われているのは、「Financial Times」の紙面と同じサーモンピンク色ですが、結果としてその色により深刻な状況を伝えるグラフがニュートラルな印象になっているようです。

ここに掲載されているグラフの多くは、時間の経過と数値で構成されており、なかには、コロナ流行中における各地域の死者数と過去数年分の死者比率をレイヤー状に配置しているものもあります。これらを見ていると自分が歴史の一部に立ち会っていることを実感します。

このインフォグラフィックは、リサーチを入念に行い世界の情報を掘り下げることで現在を知る。そうすることが未来を考える行為につながります。その手法に深く共感し、SPREADの活動もそうありたいと思います。End

John Burn-Murdoch
「Financial Times」のデータの視覚化を担当するジャーナリスト。

▲本プロジェクトをレーダーチャードで示しました。6つの属性のうち、成果物のデザイン性を「Creativity」で評価しています。「Pure & Bold」は目的に対して一途な強さを感じるか、やりきっているかという、SPREADが自らの仕事において大切にしている視点です。