MITが「切り絵」をヒントにした
凍ったところでも滑らないソールカバーを開発

▲Credit:Diemut Strebe

ふだんシューズを買う時に、ソールが滑らないものを選ぶ人も多いだろう。とはいえ、どんなソールが滑らずにしっかりグリップしてくれるのか、いまひとつわからないと思う人もいるのではないだろうか。

そこで、マサチューセッツ工科大学の研究チームは、日本の「切り絵」にヒントを得たソールのカバーを開発した。凍ったところなど、滑りやすいサーフェスでも摩擦をもたしてくれ、高齢者の転倒防止に役立つのだそうだ。

複雑な模様を紙に切り、立体的な形状を作り出す切り絵の手法は、最近では膝などの関節に密着する包帯や、ソフトロボットの表面に貼り付けられるセンサといった、新しい材料の開発にも採り入れられている。

今回のソールでは、プラスチックや金属のシートに切り込みを入れ、スパイクのような複雑なパターンを作製。このシートをソールに貼り付けることで、立ち止まっているときには平らなまま、歩くと突起が立体的に飛び出すような構造ができあがり、滑りにくくなるというわけだ。

パターンも正方形や三角形、曲線などを作り、形状ごとにさまざまなサイズと配置をプラスチックシートやステンレスシートに施してテストを実施。ソールが伸びてスパイクが飛び出すときの剛性や角度を測定したという。

また、氷や木材、ビニールの床、人工芝など、さまざまなサーフェスで各デザインがもたらす摩擦を測定。凹曲線のあるパターンが優れた摩擦を発揮することを発見した。このカバーを取り付けることで、摩擦は20~35%もアップするとしている。

研究チームは、このカバーをソールに埋め込むのか、着脱式にするのか、材料にスチール片をつけたゴム状ポリマーを使うのかなど、さまざまな可能性を模索中。凍結したところだけでなく、濡れたところや油だらけのところにも使えることを目指している。End