家庭内暴力から女性を救うために。
ハンドサインでSOSを伝える#SignalforHelp

当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウイルスの感染。この世界的危機と言える状況下では、多くの情報が行き交い、あっという間に現在が過去になっていくような変化の激しい日々が続いています。

“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを実践してきたクリエイティブユニットSPREADは、コロナ禍において行動を起こしたクリエイティブな活動をリサーチし、未来を考えるヒントを探ります。本ウェブでは、SPREADが特に注目するものを毎日1本ずつ紹介していきます。

今日のトピック

女性の権利を守る活動を行うカナダの団体、Canadian Women’s Foundationが、家庭内暴力から女性たちを救うため、ビデオ通話中にSOSを伝えるハンドサインを広める「#SignalforHelp」キャンペーンを行ないました。

SPREADはこう見る

外出制限により自宅に隔離される時間が増えたことで、世界的に家庭内暴力が増加しているそうです。この問題を解決するため、利用されることが多くなったビデオ通話に着目、被害者が声を出さずに助けを求めるハンドサインが考案されました。片手の親指をまげて、すべての指を握るという2つの小さな動作でSOSを伝えます。Canadian Women’s Foundationでは、サインの使い方を説明するイラストや動画をHP上で公開し、ツイッターで発信しています。

また、このサインを見た人がどのような行動をとるべきかについても公式HPでは紹介しています。例えば、あなたがこのハンドサインに気づいても、ビデオ通話ではその話題に触れず、ありふれた会話を続けましょう。具体的な被害内容を聞く場合は、SNS、メールなど加害者に気づかれない方法でコミュニケーションをとりましょう、といった内容です。

さらに、緊急性があり通話中に状況を確認する必要がある場合は、相手が「はい」「いいえ」で答えられるように誘導してあげましょう。質問の具体例としては「あなたの身の安全を守るために支援をしてもよいですか?」「あなたの被害をこちらで通報してもよいですか?」などです。こうすることで、加害者にわからないように被害者の意向を確認することができます。

ハンドサインというサイレントな意思表示は、身近に安全を脅かす存在がいる状況に適したものだと感じました。ただ、これを見た人がメッセージに気づかなければ意味がありません。

このハンドサインが機能するためにも、一般に広く普及させる工夫が必要です。新聞やテレビCMなど、多くの人が目にする公共性の高い媒体で周知させるのが効果的でしょう。なお、日本では、外出自粛によるストレスで家庭内暴力の被害が増えることを懸念し、相談窓口を増やしたそうです。

シンガポールの新聞「THE STRAIST TIMES」に衛生管理の徹底を呼びかけるコーナーが常設されているのを見かけました。老若男女にわかりやすいように、イラストと短い文章で説明されています。このように「#SignalforHelp」も、毎日目にする媒体を通して、時間をかけて広く浸透させていけたらよいですね。無言のSOSに気づき、救いの手を差し伸べることができればと強く思います。End

Canadian Women’s Foundation
女性の権利を守り、女性差別をなくすための活動を行う。

▲本プロジェクトをレーダーチャードで示しました。6つの属性のうち、成果物のデザイン性を「Creativity」で評価しています。「Pure & Bold」は目的に対して一途な強さを感じるか、やりきっているかという、SPREADが自らの仕事において大切にしている視点です。