WWFによる、動物が教えてくれるソーシャル・ディスタンシング

当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウィルスの感染。この世界的危機と言える状況下では、多くの情報が行き交い、あっという間に現在が過去になっていくような変化の激しい日々が続いています。

“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを実践してきたクリエイティブユニットSPREADは、コロナ禍においてすでに行動を起こしているクリエイティブな活動をリサーチすることで、未来を考えるヒントを探ろうとしています。本ウェブでは、SPREADが特に注目するものを毎日1本ずつ紹介しています。

今日のトピック

WWF UK(World Wide Fund for Nature UK 世界自然保護基金UK)がソーシャル・ディスタンシングを動物のイラストで伝えるインフォグラフィック「SOCIAL DISTANCING TIPS」を公開しました。ジャイアントパンダ、オサガメ、若いオスのホッキョクグマ、2羽のキングペンギンのイラストを用いて、誰もが一目でわかるように表現しています。

SPREADはこう見る

これ、すごく好きなんです。「2mの間隔を開けて人と接しなさい」と言われても、相手があることなのでなかなか実行できず、ついいつも通りの距離感でスーパーマーケットのレジに並びそうになり、慌てて後ずさりします。ところが、「2m」を「パンダ1頭」に変えるだけで想像力が広がり、距離感をイメージしやすくなるという見事なデザインです。

パンダはWWFの象徴ですが、誰もが知っているわりに実際に本物のそばに立った人は少ないことから、実在感と想像力が絶妙なバランスでメッセージを伝えます。ディテールをあえて放棄したかのような絵づくりは、過剰ではない愛らしさで見る人の嗜好を限定しません。このグラフィックは、WWF UKが制作し、SNSで発信したものです。英国のほかイタリアといった感染者が多かった地域でのソーシャル・ディスタンシングを伝えるグラフィックは、確実に伝えるための力強さと必然性を備えていると感じます。自らの美意識に重きを置くグラフィックデザイナーにとっては、デザインの本来の目的を再認識する機会になるのではないでしょうか。

新たに顕在化した「社会的距離」という概念は、見方を変えると今後の大事な考え方になっていくようにも感じます。「あの人は怒っているから近づかないでおこう」「彼は成功して勢いがあるから、お近づきになろう」。これもある種の社会的距離と言えるかもしれません。

今、あなたがとるべき社会への距離はどんなものだと思いますか? 知り合いの飲食店を助けること? 電車に乗らないこと? いつ決断するかわからない上司の判断を待つこと? それとも〇〇バトンをつなげること?

「社会的距離」とは「社会への態度」なのかもしれません。Show your social distance!End

▲本プロジェクトをレーダーチャードで示しました。6つの属性のうち、成果物のデザイン性を「Creativity」で評価しています。「Pure & Bold」は目的に対して一途な強さを感じるか、やりきっているかという、SPREADが自らの仕事において大切にしている視点です。

WWF UK(World Wide Fund for Nature UK 世界自然保護基金UK)
https://www.wwf.org.uk