植物と昆虫の「食う-食われる」関係が明らかに
京都大学と神戸大学による食痕から昆虫を特定する研究

京都大学の工藤葵農学部学生および山本哲史理学研究科助教と、神戸大学の源利文准教授の研究グループは、植物につけられた昆虫の食痕から採取したDNAより、食害した昆虫を特定できることを発表した。

植物と昆虫の「食う-食われる」の関係を明らかにすることは、生態系を理解する上で欠かせないことだとされる。

しかし、野外での観察では、昆虫による植物の食痕を見る機会はあっても、実際に昆虫が餌を採る様子を観察する機会は限られているそうだ。そのため、網羅的なデータを集めて「食う-食われる」の関係を明らかにすることは非常に困難だという。

そこでこの研究では、実験室でカイコに食害させたクワの葉を使って、食痕に残された唾液などの分泌物に含まれていると考えられる微量のDNAから、昆虫種を特定できることを確認。

▲図:クワの葉を食べるカイコの様子(写真提供:山本哲史)

また、野外のサンプルでも同様に、食痕のついた葉から食害した昆虫のDNAを検出できることがわかった。食痕に着目したこの方法は、植物と昆虫の「食う-食われる」の関係の調査に役立つことが期待されている。End