「ゴールドラッシュ」という儚い歴史を写真で追憶
写真家・石塚元太良の個展が近日に開催

▲Gentaro Ishizuka, Gold Rush California #004 , 2016/2020, 760×900mm ©Gentaro Ishizuka

東京・天王洲にあるギャラリー「KOTARO NUKAGA」は、2020年7月11日(土)から8月29日(土)まで、写真家・石塚元太良の個展「Gold Rush California/NZ」を開催する。

今回のテーマは〈ゴールドラッシュ〉。1848年、アメリカ・カリフォルニア州で始まった現象であり、一攫千金を狙う多くの人々が金脈を追って移住した。

そして、石塚の探究は2011年、アラスカ全土に点在するゴールドラッシュの遺物を撮影したことに始まるという。そこで石塚が発見したのは、訪れる街の多くがゴールドラッシュに由来すること、山道の多くは発掘者たちが山に入った時に拓かれた路であること、つまり現代のアラスカの下には「ゴールドラッシュ」という歴史的地層が横たわっていることだった。

▲Gentaro Ishizuka, Gold Rush California #001 , 2019/2020, 1200×1485mm ©Gentaro Ishizuka

その後、発祥の地であるカリフォルニア州、さらにはニュージーランドへと、異なる時と場所からのアプローチを継続。今回は、2016年以降に撮影された〈ゴールドラッシュ〉シリーズからの新作発表となる。

▲Gentaro Ishizuka, Gold Rush New Zealand #002 , 2016/2020, 1200×1485mm ©Gentaro Ishizuka

雄大な山々や川という、およそ150年前とほとんど変わらないランドスケープとは対照的に、かつて栄えた街は廃墟となった建物に名残をとどめている。崩れかけた小屋、埃を被ったテーブルの上には食器がそのまま残され、当時そこにあった人間の営みが、時空を超えて目の前に立ち上がってくるようだ。

▲Gentaro Ishizuka, Gold Rush California #002 , 2019/2020, 960×1200mm ©Gentaro Ishizuka

また、8×10 という大型フィルムカメラで撮影された石塚の写真は、わたしたちの視覚に揺さぶりをかける。大型カメラの特性を生かした緻密なピント調整によって、実際にはあり得ない光景が写真の上で作り出される。

▲Gentaro Ishizuka, Gold Rush New Zealand #003 , 2016/2020, 1200×1485mm ©Gentaro Ishizuka

辺境地を切り開き、土地を掘り尽くした歴史の残像からは、夢や情熱の儚さやいつの時代も変わらぬ人間の業といった側面も見て取れる。新たに開かれた視点で、100年前そして100年後という遥かなる時と遠い場所に思いを馳せるきっかけとなることを願う。End

石塚元太良「Gold Rush California/NZ」

会期
2020年7月11日(土)~8月29日(土) 12:00~18:00
休廊日
日・月・祝日(期間・時間は国や自治体の要請等により、変更の可能性あり)
会場
KOTARO NUKAGA
詳細
https://www.kotaronukaga.com/projects/gold-rush-california-nz/