メキシコ文化と伝統を落とし込んだ幾何学模様
モダンなデザインとテクニックでプロダクトの美意識を表現

▲「Hanalpixan」

メキシコ・ユカタン州メリダに拠点を置くデザインスタジオ Kimbalは、家具やテキスタイル、建築、インテリアなどで使用されるさまざまなパターンを手がけているそうだ。

各プロダクトのテーマや美意識に合わせてメキシコ文化を落とし込み、伝統的な材料や手法にモダンなデザインやテクニックを融合させるなど、グラフィックデザイナーのChristian Pacheco Quijanoが手がける幾何学的なパターンには、見た目から記憶をかきたてる強いメッセージ性が含まれているという。

▲「Hanalpixan」

たとえば、「Hanalpixan」は、「死者を弔う日」におけるユカタン独自の儀式で、マヤ語で「霊のための食物(Food of the souls)」を意味するという。コレクションでは、「ソウルフード」というコンセプトをもとに現代的な再解釈を施して、この儀式で使用されるオブジェクトにレーザー彫刻でパターンをあしらった。

▲「Hanalpixan」

▲「Hanalpixan」

伝統的なクロスステッチ刺繍「Xocbichuy」からインスピレーションを得ており、祭壇に飾る花をモチーフにするなど、ユカタン文化を象徴するデザインとなっている。

▲「Hanalpixan」

また、「Silla TOH」は、メキシコ南東部に生息する鳥・アオマユハチクイモドキ(Toh bird)をイメージしたパターンで、鮮やかなターコイズブルーの羽と振り子のように動く独特の尾をもつ、マヤの神話や物語にもよく登場する鳥だそうだ。

▲「Silla TOH」

物語では、この鳥はHacienda San Ildefonso Teyaというかつての農場施設の近くでしばしば目撃されている。現在は復元されてホテルやレストランとなり、2019年にはメリダ市の中心部に出店、現代的な雰囲気のなかでユカタンの伝統料理が味わえるという。

▲「Silla TOH」

▲「Silla TOH」

そこで、このプロジェクトでは、鳥とブーゲンビリアの花にインスピレーションを得て、レストランに合わせた、温かく居心地のよい雰囲気を与えるデザインができあがった。End

▲「Silla TOH」