OMA、オランダのサッカークラブ
「フェイエノールト」の新しいスタジアムの設計を公開

かつて小野伸二がプレーしたことでも知られる、オランダ・ロッテルダムのサッカークラブ「フェイエノールト」の新しいスタジアムが建設中である。

従来のスタジアムは、オランダ語で「桶」を意味するという「デ・カイプ(De Kuip)」の愛称で親しまれ、80年以上にわたりクラブの本拠地として使用されてきた。1937年に完成した当時は観客席が鋼材とコンクリートでできており、カーブした片持ちのスタンドと合わせて、モダニズムのサッカースタジアム建築の先駆けになったそうだ。

OMAが今回のプロジェクトを担当し、チームを強化したいフェイエノールトとロッテルダム地域を活性化したい地元自治体の思いから構想したそう。新スタジアムは、ロッテルダムの街をスポーツやレクリエーション、そして日常生活を楽しめる、接続のよい活気あるエリアへと作りかえる。

▲© Frans Parthesius

スタンド、コア、構造、サービススペースなどの重要な要素が集まり、それぞれ十分にパフォーマンスが発揮できるように設計。スタンドは3層構造で収容人員は63,000人に増加、観客席はすべてFIFAが定める視界基準「Cバリュー」をクリアし、可能な限りフィールドに近づけて配置することで、より身近な試合体験を実現するという。

コンクリート造りの12のコアには、さまざまなタイプの階段やエレベーターを設置し、スタジアムの周囲に均等に配置。これにより、ゲームの日に来場者が大勢来ても、中央ホールと上階を効率的に行き来できるそうだ。

ボウル型の鉄骨構造は、従来の鉄骨フレームよりも構造用鋼材を使わないダイアグリッドで、スタンドと屋根を支える主要構造部となる。サービススペースは、プレーヤーや観客、プレス向けのもので、そのほかレストランや多目的スペースといったホスピタリティも担う。

現代のサッカースタジアムは、都会の日常生活から切り離された、サッカーのためだけの孤立した存在だが、新しいフェイエノールトのスタジアムは、試合日以外も開いている飲食店や広場・緑地を用意して、試合の有無にかかわらずサッカーファンも市民も誰もがレジャーを楽しめるスペースとなるだろう。End