パンデミックで逆転した動物と人間
WWFインド支部による、動物との
共生を問いかけるキャンペーン広告
「Freedom」

当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウイルスの感染。この世界的危機と言える状況下では、多くの情報が行き交い、あっという間に現在が過去になっていくような変化の激しい日々が続いています。

“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを実践してきたクリエイティブユニットSPREADは、コロナ禍において行動を起こしたクリエイティブな活動をリサーチし、未来を考えるヒントを探ります。本ウェブでは、SPREADが特に注目するものを毎日1本ずつ紹介していきます。

今日のトピック

WWFインド支部が、パンデミックによる外出自粛で人間の自由が制限されたことで、これまで私たちが動物の自由をいかに奪っていたかを伝えるキャンペーン広告「Freedom」を制作しました。

SPREADはこう見る

「Freedom」は、マンションの窓から外を眺める人々の映像から始まります。それと対比するように、民家の外から窓を突く孔雀、玄関の前に集合したヤギの群れ、勢いよくプールに飛び込む猿、人がいない街中を自由に動き回る動物たちが次々に現れます。映像の中盤には、都市の中の水辺に集まるフラミンゴの大群と、屋上の限られたスペースで行ったりきたりの運動を繰り返す人間の姿が上下2分割で流れます。

パンデミックにより人と動物の状況が入れ替わりました。この動画を見ると、自宅に閉じ込められ外に出られない人々を、棲める場所が制限され自由な行動が許されない動物たちに例えていることがわかります。果てしなく広がる海に向かって進むウミガメの子どもの群れが少し羨ましく感じる一方で、窓の鉄格子を掴んでじっと外を見つめる人々はまるで檻に閉じ込められているようです。

「Freedom」は、コロナ禍で実際に起きたことを象徴として捉え、アフターコロナ時代における人と動物の豊かな共生についての問いを投げかけています。「人間の社会活動が再開した時、動物が生きていく環境を良好に保つのは人間の責任。」とWWFインド支部は伝えています。コロナウイルスの流行により、人の視野はいままでより広がりました。リモートワークの導入で新しい働き方も見えてきています。また、生存を脅かす危機感により、人生において何が大事かを見直しています。このWWFの動画を通じて動物視点で地球全体を考え行動する、さらなる視野の広さを獲得できたらと思います。End

▲本プロジェクトをレーダーチャードで示しました。6つの属性のうち、成果物のデザイン性を「Creativity」で評価しています。「Pure & Bold」は目的に対して一途な強さを感じるか、やりきっているかという、SPREADが自らの仕事において大切にしている視点です。