「あなたはひとりじゃない」妊婦さん
を支えるFacebookのキャンペーン広告
「Born in Quarantine」

当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウイルスの感染。この世界的危機と言える状況下では、多くの情報が行き交い、あっという間に現在が過去になっていくような変化の激しい日々が続いています。

“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを実践してきたクリエイティブユニットSPREADは、コロナ禍において行動を起こしたクリエイティブな活動をリサーチし、未来を考えるヒントを探ります。本ウェブでは、SPREADが特に注目するものを毎日1本ずつ紹介していきます。

今日のトピック

Facebookは、パンデミックにより家族から隔離された妊婦さんに向けて「あなたはひとりじゃない」というメッセージを伝えるキャンペーン広告「Born in Quarantine」を制作。FacebookとYouTubeに投稿し、併せてコロナ禍で新たに親になった人々へのサポートを行なっています。

SPREADはこう見る

赤ちゃんが画面越しの女性(母か祖母かは不明)に手を伸ばす姿が印象的です。外出自粛とビデオ通話がなかったら、見ることがなかった光景です。この映像のナレーションの声の主は、コロナウイルスとの類似性が指摘されるスペイン風邪が大流行した1920年に生まれ、今年100歳を迎えるAnita Sampsonさんだそうです。これから生まれる赤ちゃんとお母さんに確かな希望を感じさせる演出だと感じました。

妊婦や新生児のコロナウイルス感染リスクが特別高いという事実は、いまのところないようですが、万が一のことを考えると直接会わないことが彼らの健康を守る最善策になっています。しかし、家族や友人に会えずお母さんがたったひとりで出産を迎えるのはとても孤独で不安なことです。

そんななかFacebookは、エールを伝えつつ、新しく親になる人々に向けてSNSでのサポートを行なっています。親しい親同士が遠隔で交流ができるグループトークの使用方法や生後1カ月の赤ちゃんを持つ親の投稿を見られるハッシュタグ「#1month」。自分の住む地域のコロナウイルスに関する相談窓口。さらに、WHOがFacebookから発信している「新型コロナウイルス感染情報センター」など、信頼できる情報源の紹介をしています。

今回のFacebookの活動は、困っている人へのサポート機能はもちろんのこと、ブランディングにも良い影響を与えているでしょう。Facebook、Instagram、twitter、Lineなど多くのSNSが普及している現在、どのSNSを利用するかを決める基準は「誰が利用しているか」「自分にとって便利か」が重視されます。しかし、これからは「知り合いとの連絡に便利だから」という基準だけでは、足りないかもしれません。

コロナウイルスのパンデミックという大きなできごとにより「何を考えどう生きるのか?」という問いが世界中に投げかけられました。これからは、個人だけでなく企業も「どのような理念を持って行動しているか」がより重視されるでしょう。各企業の社会に対する姿勢が大きなものさしになってきています。End

▲本プロジェクトをレーダーチャードで示しました。6つの属性のうち、成果物のデザイン性を「Creativity」で評価しています。「Pure & Bold」は目的に対して一途な強さを感じるか、やりきっているかという、SPREADが自らの仕事において大切にしている視点です。