アフリカのNGO、ALIMAが伝える
緊迫感。酸素濃縮機の必要性を訴える
動画 「COVID19: Awareness campaign #OxygenForAfrica」

当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウイルスの感染。この世界的危機と言える状況下では、多くの情報が行き交い、あっという間に現在が過去になっていくような変化の激しい日々が続いています。

“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを実践してきたクリエイティブユニットSPREADは、コロナ禍において行動を起こしたクリエイティブな活動をリサーチし、未来を考えるヒントを探ります。本ウェブでは、SPREADが特に注目するものを毎日1本ずつ紹介していきます。

今日のトピック

西アフリカ、セネガルの首都ダカールを拠点とするNGO、ALIMA (The Alliance for International Medical Action 国際医療活動同盟)は、すべての人はウイルスに対抗できるというメッセージとともに、主に呼吸器疾患などの患者が用いる酸素濃縮器の必要性を訴える動画「COVID19: Awareness campaign #OxygenForAfrica」を制作。仏語版は4月6日、英語版は4月7日に公式YouTubeに投稿されました。

SPREADはこう見る

ALIMAは、2009年の創設以来、500万人の患者を治療し14か国で56のプログラムを実施。栄養失調、マラリア、エボラウイルス、自然災害時の手術に関する29のプロジェクトを立ち上げています。 コロナウイルスの感染流行以来、中央アフリカと西アフリカの400の保健センターで感染者の治療にあたってきました。

この動画は「The Coronavirus has arrived in Africa(コロナウイルスがアフリカにやってきた)」の一文から始まります。アフリカにおける医療機器不足と看護スタッフの感染リスクの高さは、ヨーロッパ諸国の3倍の死亡率につながるそうです。黒の背景に点滅するゴシック体の白文字、スマートフォンで撮影したであろう酸素濃縮器の必要性を訴えるモノクロ映像がアフリカの緊迫した状況と危機感を伝えます。残念ながら制作を担当した方の情報は見当たりませんが、緊急性が求められる状況で、絶妙なバランスの表現により強く訴えかける映像の裏には、きっとクリエイターの関与があると思われます。

ALIMAはこの動画が投稿された4月6日から公式HPで、酸素濃縮器を購入するための寄付金を募っています。集まった金額は、6月26日時点で約456万円、7月8日現在約1215万円です。6月8日に投稿された動画では、258台の酸素濃縮器がすでに各施設に送られているとのことでしたので寄付金額に応じて台数も着実に増えていることでしょう。

この金額が多いのか少ないのか、酸素濃縮機の台数が十分なのかどうか、不確かではありますが、コロナウイルスが収束しない限り支援の継続は必要なはずです。しかし、寄付を募るにしても、そもそも自国の状況が改善されないと他国のサポートをする余裕が生じにくい。また、世界中で移動が制限されているため、ボランティアに赴くこともできません。これがコロナウイルスによるパンデミックの怖さ、辛いところです。End

▲本プロジェクトをレーダーチャードで示しました。6つの属性のうち、成果物のデザイン性を「Creativity」で評価しています。「Pure & Bold」は目的に対して一途な強さを感じるか、やりきっているかという、SPREADが自らの仕事において大切にしている視点です。