米デザインオフィスIsometricは、美術館の安全な再開のために
デザイン戦略を備えたツールキットを考案

新型コロナウイルスの影響により、美術館や博物館はさまざまな課題に直面しているが、地域コミュニティの教育や集会の場として、これまで以上に重要性を帯びているという。

そこで、ニューヨークのデザインオフィス Isometricは、展示施設の再開に向けた「Toolkit for Museum Reopening」を公開した。安全に再開するためのデザイン戦略や新たな目的を備えた展示施設を作るためのツールキットで、公式サイトから無料でダウンロードすることができる。

たとえば、屋内施設では、展示室の入口と出口を決めたり、鑑賞者が円を描くように一定方向に流れるように設計。クリエイティブな空間でありながらも、広さに合わせてソーシャルディスタンスを確保できるように、ゾーンに区切り、その場にいる人数を制限する。

そのほか、ディスプレイやベンチ、ボタンや手すりにいたるまで、接触を避けるようにし、消毒ステーションを設置したり、こまめに殺菌を実施。チケット売り場にもパーテーションを置き、入場にはスマホアプリで混雑状況を確認、時間を決めて入場予約するそうで、マスク自体がチケットになるそうだ。

一方、野外展示は、室内展示よりも制限が少なく、自由に歩き回ることができるので、展示室や廊下のないところで鑑賞者を誘導するのは難しいこともある。

そこで、新たな野外展示体験を提供するために、展示物間の距離やソーシャルディスタンスを確保しつつも、より大きな人の流れを作り出し、展示物をさまざまな位置から鑑賞できるように見やすい作品紹介を複数設置。

展示物はケース付きの台やパネルに置き、天候などによるダメージに留意。鑑賞者も悪天候や日差しを避けられるようなエリアや植物を設け、休憩用のベンチやスツールも用意するべきだとしている。

そのほか、身体の不自由な人など、現地に行けない人も含めたより幅広い鑑賞者向けに、オンラインでの展覧会の開催も提案。これにより、地域コミュニティに対する美術館・博物館の役割を強調できるようになると考えている。End