建築家・⾬宮知彦が主宰するR/URBAN DESIGN OFFICEによる
コロナ時代における「⾵通しの良い」ワークプレイス

▲© 千葉顕弥

建築家・⾬宮知彦が主宰するR/URBAN DESIGN OFFICEは、with/afterコロナ時代のワークプレイス「ラーバンデザインオフィス本社」を2019年9月にオープンした。

新型コロナウイルス感染症が広がる以前にデザインしたものだが、現在のwith/afterコロナ時代におけるワークプレイスの1つのモデルを示唆しているという。

▲© 千葉顕弥

このオフィスは、旧街道である中⼭道と住宅地内の細路地という、2つの対照的な道に⼆⾯接道する建物の1階にある。もとは中⼭道に⾯した商業テナントスペースと路地に⾯した居住スペースに背割りで区画されていたものを、壁をぶち抜いて1区画に再編することで、⾵通しの良い空間にすることを目指した。

▲© 千葉顕弥

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まず、幅3.5mの道状の空間(通り⼟間)を2つの道をつなぐように通し、将来的な⼈数の増減にも対応しやすい、家具の置き⽅によってフレキシブルに変化する執務空間とした。

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残りの空間は、通り⼟間に直交する6枚の壁で分節し、ミーティングスペース・倉庫・トイレ・キッチン・事務スペース・⽞関といった⽐較的明快な⽤途に割り当てた。これらの空間へはそれぞれ通り⼟間からアクセスすることができる。

▲© 千葉顕弥

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さらに、実験的な試みとして、専有⾯積を削って地域に軒下空間を提供。同事務所はこれまで雑居ビルの4階に⼊居していたが、通勤に時間を浪費したあげく、地⾯から離れたユニバーサルスペースで働くことに違和感があったそうだ。

▲© 千葉顕弥

そこで、徒歩や⾃転⾞で通えるエリアの路⾯テナントに事務所を移し、従業員もなるべく⾃転⾞圏内に住むことにした。既存テナントは、中⼭道の道路境界線ぎりぎりまで室内の専有部としていたが、そこから建具の位置を約1.5mセットバックし、軒下の外部空間を設けた。

▲© 千葉顕弥

コロナ禍によってテレワークが増え、⾼密度な都⼼の密閉オフィスに満員電⾞で通勤するというスタイルは廃れていく可能性がある。とはいえ、設計事務所のように物理的な創作が必要な職種においては、物理的なオフィス空間が無くなるということもないだろう。

そこで1つのあり⽅として、⾼密度に床が積層する都⼼を避け、環境の良い場所に職住近接することのリアリティが増している。このオフィスは図らずもそれを体現しているといえる。

▲© 千葉顕弥

⾃然換気・通⾵に優れていることや、その時々に合った働き⽅にフレキシブルに対応可能なプラットフォームであることなども、コロナ以後を⾒据えたオフィスのモデルになりうるとしている。End