錆にフォーカスした実験的素材「Rust Harvest」の新作が公開
抽象画のようなグラフィカルな模様に注目

▲ Photo:Gottingham

デザイナー・狩野佑真が主宰するstudio yumakanoは、「錆」にフォーカスした実験的素材「Rust Harvest|錆の収穫」シリーズの最新作を発表した。

▲ Untitled (Some Rust #80), 2020 © Gottingham Image courtesy of Studio Yumakano and Studio Xxingham

今回登場したのは、Rust Harvestの素材を用いた水平面や垂直面へ展開可能なグリッドシステムデザイン「Rust Harvest|Grid」と、そのシステムを実際に用いた住宅のエントランス壁面「Rust Harvest|Wall for S house」。

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2016年に小さなカケラから始まり、ユニークピースの家具作品として発表してきた同プロジェクト。今回、インテリア空間へ展開された初めての事例となる。現在、このシステムを用いた複数のプロジェクトが進行しており、より幅広い用途へ展開してゆく予定だ。

▲ Photo:Gottingham

Rust Harvest|Grid」は、与えられた面に対して、グラフィカルに絵を描く感覚で1枚1枚模様の異なるRust Harvestのピースをレイアウトしたもの。

このシステムを垂直面に施せば壁やパーテーションになり、水平面に施せば座面やテーブルトップにもなり得るという。あらゆる空間やプロダクトに応用でき、Rust Harvestの1ピースの大きさや厚み、目地の幅は、さまざまなサイズに製作可能でだそうだ。

▲ Photo:Gottingham

一方、「Rust Harvest|Wall for S house」は、栃木県那須烏山市に新築された住宅のエントランス壁面デザインのプロジェクト。住人が毎日通る玄関でありながらも、来訪客を迎え入れるエントランスとして「圧倒的な美しさ」が求められたという。

そこで、W3215×H2523mmの面に、360枚のRust Harvestのピースをグリッド状に敷き詰めた。マクロの視点では1枚の巨大な抽象画のようにも見え、ミクロの視点では、1枚1枚異なる錆の模様がまるで顕微鏡を覗いているかのように多様で複雑な表情を見せる。

▲ Photo:Gottingham

錆模様の隙間からは下地のスチール材が輝きを放ち、アクリルの表面は反射により周囲の景色を映し出す。エントランス壁面という重厚感と、周辺の素材を尊重し季節や時間の移ろいに合わせて、静的でもあり動的にも表情を変える壁面となっている。End

▲ Photo:Gottingham

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