ジンやウイスキーを生産するベンチャー企業が月桂冠と協業。
コロナの影響で余ったバドワイザービールをジンに再生。

当たり前と思っていた日常を一変させてしまった新型コロナウイルスの感染。この世界的危機と言える状況下では、多くの情報が行き交い、あっという間に現在が過去になっていくような変化の激しい日々が続いています。

“過去を見つめることから未来をつくり出す”ことを実践してきたクリエイティブユニットSPREADは、コロナ禍において行動を起こしたクリエイティブな活動をリサーチし、未来を考えるヒントを探ります。本ウェブでは、SPREADが特に注目するものを毎日1本ずつ紹介していきます。

今日のトピック

ジンやウイスキーを製造するベンチャー企業であるエシカル・スピリッツは、 “バドワイザー”ブランドをグローバルに展開するアンハイザー・ブッシュ・インベブ ジャパンビールと月桂冠との協働により、ビールを蒸留してジンをつくると発表しました。コロナの影響を受け店舗に卸せなくなり、廃棄の可能性があったバドワイザーのビール合計20,000リットルが、月桂冠の工場で「REVIVE」というジンに生まれ変わります。

SPREADはこう見る

元々、エシカル・スピリッツは、長野県と鳥取県にある酒造の協力を得て日本酒の生産工程で出る酒粕を蒸留させジンを製造していました。今回その製法を使ってビールを蒸留しジンに再生します。

ビールはアルコール度数が低いため、2、3回に分けて蒸留を繰り返し、シナモンやレモンピールなどから得た個性的な風味と甘みのある味わいに仕上げるのだそうです。しかし、20,000リットルのビールからつくられるジンは、約1750リットル。わずか11分の1の量しか生産できません。度数は40度。価格は360ミリリットル瓶で1本5500円。エシカル・スピリッツ社の公式サイトで8月1日から先行予約を開始し、9月1日から発送開始予定です。

バドワイザーの樽ビールは、賞味期限が3カ月ですが、アルコール度数の高いジンは賞味期限がありません。廃棄されるかもしれなかったビールが、永遠に腐らないものに変化したことにとても驚きます。また、この発案自体の逞しさになんだか自分まで嬉しくなります。また、賞味期限がないということは、災害時のための備蓄としても有効です。必需品ではないかもしれませんが「REVIVE」を我が家の備蓄に加えようと思います。

しかしながら、裏を返せば居酒屋やレストランなど、ビールが卸されるはずだったお店の経営が思わしくないという厳しい現実の表れでもあります。そのことを常に心に留めておかなければと感じました。End

エシカル・スピリッツ
東京を拠点とする、新時代のジンやウィスキーを生産する蒸留ベンチャー企業。「循環経済を実現する蒸留プラットフォーム」をモットーにしている。2020年2月設立。

▲本プロジェクトをレーダーチャードで示しました。6つの属性のうち、成果物のデザイン性を「Creativity」で評価しています。「Pure & Bold」は目的に対して一途な強さを感じるか、やりきっているかという、SPREADが自らの仕事において大切にしている視点です。