未来プロジェクト「Satsuma Future Commons」

多くのプロジェクトがストップし、なかなか皆さんに共有できることがないのですが、オンラインながらも一歩ずつ進めてきた未来プロジェクト「Satsuma Future Commons」についてお話します。鹿児島県の薩摩川内市には薩摩川内原発があります。原発の賛否もあるなか、その隣にある広大な土地を川内港久見崎未来ゾーンとし、そこに工業団地が造成されています。しかし、単純に多くの工場を誘致するのではなく、現在の社会の課題を解決しつつ、これからの社会をより良くする特徴を持った企業の知の集積地にしようと議論を重ねてきました。そして、私の専門でもある「循環経済」をテーマとすることになりました。

循環経済を構築し、維持・発展させていくために、ビジネスがエンジンとして中心的な役割を担います。そして、そのビジネスは、大手企業はもちろん、多くのベンチャー企業の知見も融合します。しかし、循環ビジネスやリサイクルはこれまでも言われ続けてきており、その課題も多くの場面で議論されていて、簡単に解決できるようであればすでに行われているはずです。なかなか進まないのは、製造、流通、消費のすべての段階で複雑に絡み合う既存の産業構造が存在しているからです。「Satsuma Future Commons」では、それらを解決するべく、多くの人たちの技術やノウハウを集結し、日本の、または世界の循環ビジネスの知見の集積地になるようなブランド戦略を立てて、ビジネスの構築をしていきたいと考えています。環境や社会課題の解決を見据えた持続的な発展を目指す「循環経済産業都市・薩摩川内市」という薩摩川内市の将来像は、世界のすべての地域が思い描く将来像ではないでしょうか。

そして、大事なのが、循環経済を地域の魅力のひとつにしていくことです。そのためには、これまでの薩摩川内の歴史や文化との融合も欠かせません。地域の人たちの理解を得て、ビジネスが生まれ、訪れる人が増え、住む人が増えていくことで、地域に根差した産業に成長していきます。ストレートな言い方ですが、お金がしっかり回ることが、そこで生活することに繋がります。生活する人が増えることで地域の経済が活性化されます。循環経済産業都市では、これからの地球規模の課題解決と価値創造を担う人材が多く集まり、ビジネスと雇用を生み出すことも目指していきます。そのため、工場だけではなく市民工房やラボ、マテリアルライブラリー、カフェなども充実させていきます。

まだまだ新型コロナウイルスが収まる気配がありませんが、今後はオンラインも含め、「Satsuma Future Commons」のお披露目もしたいと考えています。End