リサイクル困難な熱硬化性プラスチックを再利用するには?
MITが変形・分解させて活用する方法を開発

プラスチックのリサイクル活動は、環境問題への関心の高まりから、世界中で熱心に行われている。ただ、プラスチックのなかでも、使用後にリサイクルがしづらいものもあるそうだ。

たとえばエポキシ樹脂やポリウレタン、タイヤに使用されるゴムのような「熱硬化性プラスチック」は、自動車や電化製品など耐久性や耐熱性が必要な製品に使用されているが、その化学結合は「熱可塑性プラスチック」などに比べて強いので、リサイクルが困難なのである。

そこで、米マサチューセッツ工科大学の研究チームは、ケミカルリンカーを使って熱硬化性プラスチックを変形させる方法を開発した。これにより素材を簡単に分解できるようになり、なおかつ機械的強度を保っているので有用さも失わないとしている。

熱硬化性プラスチックは熱可塑性プラスチックと同じプロセスで製造されるが、高分子間は共有結合で非常に強く結合されるので、液体から固体になると元の状態に戻すことは非常に難しく、加熱しても再び変形することがない。

研究チームが今回発見したのは、「ポリジシクロペンタジエン(pDCPD)」と呼ばれるものを形成する液体前駆体に「シリルエーテルモノマー」を加えるという方法である。

このシリルエーテルモノマーが材料全体に対して7.5~10%の割合で含まれていれば、pDCPDは機械的強度を維持しつつ、フッ化物イオンにさらされることで分解され、可溶性粉末になりうるという。

さらに研究チームは、こうして得られた粉末を再利用して、新しいpDCPDの作製にも挑戦。pDCPDを作るための液体前駆体に粉末を溶かすことで、リサイクル粉末から再びpDCPD熱硬化性プラスチックができあがるそうだ。End