靴職人・三澤則行による靴のアート作品「足の巣」
靴というものの新たな様式を提示

靴職人の三澤則行は、フランス・カンヌ、 ニューヨークのチェルシー、ロンドン、ベルリンなど世界各地で作品を発表してきたが、2020年は活動が制限。そんな中で、まったく新しい靴のアート作品「足の巣」(2020)を作り上げた。

今回登場したのは、ハイヒールに足を滑らせるように、足を「置く」という行為の外側の空間を視覚化した作品だ。

通常の靴作りのように、平面の革を足に沿うように這わせ、面を構成しながら形作るのでなく、足の周りの空間を造形してみせた。選んだ素材は、靴のヒールに用いる革である。

足の周りの空間を埋めるように、革が幾重にも積み上げられ、重厚感をもたらすレイヤーは、まさに、動物や昆虫が作り出す「巣」だ。すべてが手作業で為されたとは俄かには信じ難い、卓越した技術は本作でも余すところなく発揮されている。

コロナ禍で外出が制限され、家で過ごす時間が増えるなど、従来の生活形態の変容が迫られる世界で、靴も「歩くための道具」だけではなくなるかもしれない。そんな現代に、三澤の「足の巣」は、靴というものの新たな様式を提示しているのだ。

なお、今作を含めた靴のアート作品の個展を、2020年11月23日(月・祝)から11月29日(日)の期間、東京都台東区の東京浅草文化観光センターの7階にて開催予定だ。End

▲三澤則行