NEWS | インテリア
2020.11.13 15:20
UAEのドバイにあるアート施設「Tashkeel」では、若手デザイナーの育成プログラム「Tanween Design Programme 2020」が行われている。
今年度は、Lina Ghalib、Nada Abu Shaqra、Neda Salmanpourという3名のデザイナーが実験や学習、メンターによる指導などのプログラムを通じて、3点のプロダクトを制作。いずれもUAEに着想を得て設計・製造し、アラビアのデザイン美学を探求しているという。
まず、Lina Ghalibが手がけた「Yereed」は、UAEの文化と生活の象徴であるヤシの主脈を使用したベンチである。
主脈は砂漠の暑さを避けるために壁や屋根の材料として使われてきたそうで、「Yereed」では季節ごとに落ちてしまうヤシの枝を廃棄せずに、再利用して家具を作り上げた。皮を剥いだり、切ったり、穴を開けたりすることで新たな材料となり、新しいデザインの可能性が生まれた。
次いで、Nada Abu Shaqraによる「Hisn」は、UAEのヴァナキュラー建築とその文脈に応じた材料にインスパイアされたチェア。
壁に穿たれたアーチ型の壁龕をイメージしており、ここに座ることでヴァナキュラー建築に住むことを理解するのがねらいとなった。また、住宅や公共スペース、オフィスに置くことで誰もが座りたくなるような、インタラクティブなチェアを目指したそうだ。
そして、Neda Salmanpourがデザインしたペンダントライト「Qaws」も、その形状はUAEのヴァナキュラー建築に着想を得たものである。
モジュールは、イスラム建築の装飾「ムカルナス」や、地元の書体におけるグラフィカルな筆づかいに見られる、立体的なエレメントをヒントにしたという。
こうしたエレメントをベーシックなものに変えて再構成することで、小さいながらもこの地域のものであるということがすぐにわかるようになっている。