戸田建設と日大工学部が「自己治癒コンクリート」を開発
微生物の力でコンクリートのひび割れを閉塞

▲画像:Andrew Buchanan

戸田建設は、日本大学工学部と共同で、微生物を用いた「自己治癒コンクリート」の実用化に関する研究を行っており、このほど東京都江東区にある同社施設「南砂PJ研修センター」の擁壁部に初適用したことを発表した。

▲南砂PJ研修センター完成イメージ図

コンクリート構造物に発生するひび割れは、鉄筋の腐食による耐久性の低下や、美観を損なうことなどの原因となる。

そこで同社は、微生物の代謝活動によってコンクリートのひび割れを閉塞させることができる「自己治癒コンクリート」に着目。これは、微生物とその養分となる乳酸カルシウムをコンクリートにあらかじめ添加することで、発生したひび割れを閉塞させる技術である。

▲自己治癒コンクリート適用状況(擁壁部)

コンクリートにひび割れが発生すると、酸素と水が供給されることで微生物が活動を開始し、乳酸カルシウムを取り込み、炭酸カルシウムを生成することによってひび割れを閉塞する。

▲コンクリート試験体によるひび割れ閉塞状況(20週経過後)

▲通水試験の結果の一例(ひび割れを有するモルタル円柱供試体を用いた場合)

また、微生物はひび割れが閉塞すると活動を休止し、休眠状態となるが、再度ひび割れが発生すると活動を再開するという。

同社は、この技術により、コンクリート構造物の耐久性や美観を維持することができ、ひび割れに対するメンテナンス作業が不要となることで、構造物供用中の維持管理費用を低減できるとしている。End