フォード、デトロイトのボザール様式の「ミシガン・セントラル駅」を
モビリティイノベーション地区の中心地として修復

米ミシガン州デトロイトにかつてあった「ミシガン・セントラル駅(Michigan Central Station)」は、1988年に営業を終了し、現在はその駅舎が残されている。米フォードはこの旧駅舎を2018年に買収し、同社の拠点とするために修復工事を行っている。

駅舎の修復は、内装の復元や保存を専門とするニューヨークのデザインスタジオ EverGreene Architectural Artsが手がけており、その模様が公開されている。

今回は1913年開業のこの歴史的建造物のなかでも、メインコンコースやアーケード、切符売り場、レストランといったもっとも壮麗なエリアを復元している。

この駅はボザール様式の建築で、建物1階の大部分は石のようにも見えるが、コスト削減のために実際は石膏が使われている。Evergreeneは、もとの石膏を残しつつ、必要に応じて新しく作り直して保存と美化を実施。

18か月間にもおよぶ修復プロジェクトでは、従来の三層張りの石膏や装飾用石膏、薄塗り石膏といった3つの石膏技術を駆使。待合室の壁面や天井を飾る格間、円形浮彫り、円花飾りなど、3,000を超える石膏作品を復元するという。

また、装飾用石膏は1900年代の初頭以降はあまり使われていないものだそうだが、熟練した職人が元の建築家の意図を汲みとって石を模した外観を再現。デジタルツールは使わず、15~20人の職人チームが、床から天井まで足場を組み、ほとんど手作業で仕上げている。

全体の工事は2022年末までに終了し、完成後はフォードの新しいモビリティイノベーション地区の中心地となる予定。現代的なオフィススペースのほか、地元風のレストラン、ショップ、宿泊施設や公共施設を備えた場所として一般利用もできるそうだ。End