「平成美術」を総括する
書籍「平成美術:うたかたと瓦礫1989–2019」

世界思想社は、美術批評家・椹木野衣の最新刊「平成美術:うたかたと瓦礫(デブリ)1989–2019」を2021年2月20日(土)に発売する。B5変形判/232頁で、価格は3,500円(税込)。

同書は、椹木が平成美術を総括する「うたかたと瓦礫」という視点から選んだ、平成を代表する14のグループや集合体の主要作70点について、200枚余の写真をフルカラーで掲載。

同氏の重厚な論考に加え、平成美術史カラー年表(731項目、図版77点)、赤坂真理立岩真也・片山杜秀による平成論も所収する。

椹木によれば、平成はすべてがうたかたと消え、瓦礫となりうる時代で、美術は個人の制作だけでは困難になり、アーティストたちによる集合的活動が重要になったと指摘。さらに、「傷ついた時間」という新たな概念を提起するなど、平成論と美術の融合が生み出す独自の時間論にもなっている。

また、松本弦人デザインのカバーは、ミシン目に沿ってきれいに切り取ると15枚のポストカードになり、これらを指定のページに貼り込むことで、初めて本が完成するという。うたかたのように消えるブックカバーであり、読者も本を作る集合的活動に参加するしくみにもなっているそうだ。End