三菱ケミカル、世界最小最軽量の月面探査車「YAOKI」に
最先端CFRP素材を提供

▲Astrobotic Technology社 月面着陸船「ペレグリン(Peregrine)」に搭載される「YAOKI」運搬ポッド

世界最小最軽量の月面探査車「YAOKI」を開発するロボット・宇宙開発ベンチャーのダイモンは、三菱ケミカルとパートナーシップ契約を締結したことを発表した。

「YAOKI」は2021年冬に月面探査の実施を予定しており、これを地球から月に運搬するポッド(ケース)に対して、三菱ケミカルより最先端CFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)素材の提供を受けることになる。

▲2020年版月面探査車「YAOKI」

月面輸送のコストは1kg当たり1億円と言われ、打上重量を軽減することが直接的なコストダウンに大きく影響するとされる。

さらに、宇宙分野の機器には、高い剛性(=打上時の振動に耐える力)、高強度(=打上時の振動負荷に耐える力)、耐熱環境(=宇宙空間の-170~+150℃に耐え、熱変形を抑える力)、耐放射線(宇宙空間における高放射性に耐える力)なども求められている。

これまで宇宙部品には、「強度と剛性」「加工のしやすさ」「真空におけるガス発生がない」といった点から、アルミ素材が多く使われてきたという。そして、これらの利点や「軽量さ」をアルミ素材以上に兼ね備えているのがCFRPだそうだ。

▲「YAOKI」運搬ポッド

「Project YAOKI」は現在、Astrobotic Technology社のペイロード技術書類認証を取得し、さまざまな最終試験を行っている段階。今回提供される三菱ケミカルのCFRPは、過酷な月面環境を走行する「YAOKI」にとって重要な技術になるとしている。

また、「YOAKI」による月面での稼働実績を踏まえて、NASAのアルテミス計画が目指す月面利用ステージとなる月面建機や月面基地などに、三菱ケミカル社製CFRPがエントリーする予定だ。End