ブラックホールはどんなふうに見える!?
アートのような「降着円盤」の動きをNASAが公開

▲Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/Jeremy Schnittman and Brian P. Powell

私たちにとってはまだまだ謎の多いブラックホールだが、NASAはこのほど、ブラックホールに関する新しいムービーを公開した。

このムービ―は、巨大な質量をもつ2つのブラックホールが円を描いて回る動きをビジュアル化したものである。大きい方を赤く、小さい方を青く色分けしており、この2つが近づいたときに、「降着円盤」と呼ばれる周囲の高温ガスの渦が発する光がどのように歪んでいくかを表現している。

▲Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/Jeremy Schnittman and Brian P. Powell

それぞれの降着円盤はこぶのように膨らんだ外観をしているが、一方がもう一方の前を横切るとき、手前にあるブラックホールの重力により、他方の降着円盤は急激に変化し、アーチを描いた形に歪むのである。こうした歪みは、それぞれの降着円盤がブラックホール近くの乱れた時空を通過したときに発生するという。

▲Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/Jeremy Schnittman and Brian P. Powell

ムービーを作成したNASA ゴダード・スペース・フライト・センターの天体物理学者であるJeremy Schnittmanによると、2つあるブラックホールは「ブラックホール連星」と呼ばれるもので、数百万年もの長きにわたってそれぞれが降着円盤を維持しているのだそうだ。

また、降着円盤は一方の端で明るく光るが、ブラックホール近くではガスが活発に動いており、「ドップラーブースティング」と呼ばれる現象を生み出して、降着円盤の光度が変わるのだとされる。アインシュタインの相対性理論によると、私たちに向かって回転するときに明るくなり、遠ざかるときに暗くなるからだ。

▲Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/Jeremy Schnittman and Brian P. Powell

▲Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/Jeremy Schnittman and Brian P. Powell

2つのブラックホールはアートのような光の軌跡を描くが、それぞれの降着円盤はさまざまに歪んで変形し、複雑に絡み合っているにも見える。どういう仕組みでそうなるのか、なかなか難しい解説がつけられているが、ともあれ美しいブラックホールをしばし眺めてみよう。End