ポーラ美術館、来館者誘導装置
「Spectra-Pass」を設置

▲Spectra-Pass導入後のチケットカウンター周辺の光景 © Ken KATO

神奈川県箱根町のポーラ美術館は、チケットカウンター前の来場者を誘導するための新たな装置として、建築家・津川恵理が率いる建築設計集団「ALTEMY」が手がけた来館者誘導装置「Spectra-Pass」を2021年8月6日(金)に導入した。

Spectra-Passは、来場者をチケットカウンターへ誘導するとともに、その導線上に身を置いた来場者自身が歩みを進めていくことで、刻々と変化するロビーの空間を体験しながら、自らの感覚に引き込まれていくきっかけを作り出す装置である。

▲Spectra-Pass検討時のイメージパース © ALTEMY

ロビー空間をグリッド状に分割して、それを辿るようにひと筋の線を描いていくと、抽象的な形の空間が立ち現れてくる。外側から見れば複雑で捉えにくいが、この場所に身を置いてみると道が開けており、自らの感覚を頼りに歩みを続けることができる。

そして、美術館に来館した人たちが展示室へと向かう間、自身の感性が徐々に研ぎ澄まされていき、まだ見ぬ作品との出会いについて、期待感や高揚感を高めていくものとなっている。

ベルトパーテーションに沿って、周囲の人との間に一定の間隔を保ちながら、チケットカウンターに整然と人が並んでいる光景は、今や全国の美術館では当たり前の光景になった。

それは、これから美術鑑賞をする来場者にとってふさわしい体験なのかどうか。Spectra-Passは、新たな美術館のロビー空間としての在り方を提案している。End