化石燃料を使わず水素ガスを使用した
スポンジ鉄の製造にスウェーデンの企業が成功

スウェーデンに本社を置く特殊鋼メーカーのSSAB、鉱業会社のLKAB、電力会社のVattenfallは、世界初となる「水素還元スポンジ鉄」を製造したことを発表した。

3社が共同で手がけるイニシアチブ HYBRITが開発した「水素還元スポンジ鉄」は、石炭やコークスを使用して酸素を除去するのではなく、化石燃料を含まない水素ガスを使用して鉄鉱石から銑鉄(スポンジ鉄)を生産したもの。

原則として、バリューチェーン全体で化石燃料を使わない原料と化石燃料を使わないエネルギーのみを使用しており、これにより製鋼プロセスから排出されるCO2がゼロになるのが目標であるという。

LKAB の社長兼 CEO である Jan Mostromは、「LKAB が全生産量をスポンジ鉄に転換すると、鉄鋼業界の移行が可能になり、地球規模での排出量を年間約3,500万トン削減できます。これは、スウェーデンの全排出量の3分の2に相当します」と語る。

また、鉄鋼業界は現在、世界のCO2排出量全体の7%を排出しており、このイニシアチブによって、スウェーデンで10%、フィンランドでは7%のCO2排出量を削減する可能性があるとしている。

今後、3社はHYBRITを通じて、鉱山から鉄鋼までのもっとも効率的なバリューチェーンを構築し、2026年には産業規模で脱化石燃料鋼を市場投入することを目指している。End

▲(左から)LKAB社長兼CEO Jan Mostrom、SSAB社長兼CEO Martin Lindqvist、Vattenfall社長兼CEO Anna Borg