スズキユウリ、映画ストリーミング「MUBI」の
サウンドアイデンティティを制作

アーティストのスズキユウリとデザイン事務所 ペンタグラムは、映画配給会社で映画ストリーミングサービスを展開する「MUBI」の新しいアイデンティティとなる、サウンドデザインを制作した。

今回は、映画の歴史とその音との関わりを考えて、MUBIを体現するサウンドアイデンティティを考案。ミュジーク・コンクレートやテープ音楽、ペンポイント・パーカッション、シンセサイザーやストリングスなどのさまざまな技術を使用することで、まったく新しいサウンドができあがった。

具体的には、オープンリール式のテープレコーダーを使用。テープは音に暖かみやざらつきを与えることができるとされ、デジタル時代ではなかなか表現できないものである。

こうしたテープを切ってつなぎ合わせれば、コラージュされたサウンドが実現。アイデンティティの手触り感や含みのあるバックグラウンドを作り出し、メロディアスなストリングスともうまく調和している。

さらに、ノーマン・マクラレンが手がけたペンポイント・パーカッションを採用。この手法は、フィルムのサウンドトラック上にペンで「点」を描き込み、これを映写するとダイナミックでパーカッシブなサウンドが表現できるというものだ。

また、繊細なシンセサイザーの音は、MUBIのアイデンティティとしてさまざまなサウンドを結合させる役割を担った。そして今回は、1920年にソビエトで生まれ、人間の声にも似た音を奏でるテルミンも使った。

グラフィックデザイン事務所 SPINが作成したMUBIのロゴは、「第七芸術」と呼ばれる映画を表す7つのドットを使用。サウンドアイデンティティは、和音のような3・3・1のビジュアルアイデンティティとダイレクトにつながり、洗練されたハーモニーを創り出している。End