「再生するラグジュアリー」の開発を目指す
英UALとLVMHのプロジェクト「Maison/0」  

▲Eleonora Rombola, Algalip, MA Biodesign

ロンドン芸術大学(UAL)のカレッジであるセントラル・セント・マーチンズLVMHと共同で、「再生するラグジュアリー(regenerative luxury)」のためのプラットフォーム「Maison/0」を立ち上げている。

LVMHは現在、5つの部門・75のメゾンで構成されている。Maison/0では、これまでのクリエイティブな実践をリセットし、「再生」による未来に向けたラディカルなモデルを探求するという。

プロジェクトは2017年にスタートし、2021年からはサステナビリティだけに満足せず、気候や生物多様性を積極的に再生することを目指し、「再生するラグジュアリー」の開発に取り組んでいる。そのなかで、同カレッジのMAバイオデザインコースに所属する学生がラグジュアリー部門のために天然のものを有効活用するユニークな素材を手がけた。

▲Tahiya Hossain, Algae Palette, MA Biodesign

たとえば、「Algae Palette」は、大型藻類から抽出した色素で染色したテキスタイルプリントのコレクション。絞り染めなどの伝統的な技法を用いることで、藻類の染料により絹や綿のプリントをコントロールでき、化学染料や有毒な染料を減らすことができる。

▲Cassandra Quinn, Excessories, MA Biodesign

「Excessories」は、生地の染色で発生する、水中に浮遊して処理できない粒子を活用。魚介類の廃棄物の殻から得た抽出物を繊維染料の廃水にくわえると、反応により水から色素粒子が分離され、きれいな水と着色されたバイオポリマーが得られるそうで、これをテキスタイルデザイン向けのラグジュアリーなバイオスパンコールや装飾を作るのに利用する。

▲Eleonora Rombola, Algalip, MA Biodesign

「Algalip」は、廃棄物系バイオマスの藻類を口紅のペーストやパッケージに使える素材に変える。標準的なフィラメントよりも低温で3Dプリントが可能。ローカルな循環システムのなかで作れるので、資源や輸送コストを抑えたり、廃棄物や有毒物質の発生を抑えたりできる。

また、「Hyphae Hues」は、菌類でできた非毒性の染料を使うことで、染料業界から排出される数多くの化学物質が海や湖、河川に流れ込まないようにする。

▲Julia Jueckstock, Hyphae Hues, MA Biodesign

赤から黄色までの色は菌類が成長する環境を調整することで自然と制御でき、菌類の自己形成や、スクリーン印刷やスタンプで模様をつけることができる。End