負荷を減らすという常識を覆し、増やすことも可能にした外骨格メカ
「スポーツメイト5」

業務用途での実用化が進むエクソスケルトン(外骨格)デバイスは、腕や腰、脚部に装着して筋力を補助し、ちょうど電動アシスト自転車のように、少ない力で肉体労働などを可能するための製品だ。工事現場や倉庫業務、あるいは介護など、重い荷物や要介助の人を移動させる際などに利用されはじめているが、民生用としては価格や用途面での課題があり、これまで一般コンシューマ向けの製品が開発されることはなかった。

しかし、香港のエンハンスト・ロボティクスは、あえてこの領域に挑戦して「スポーツメイト5」(約2,000ドル)を完成させた。スポーツメイト5は、この種の製品としては軽量な2.5kgの重さで、2時間の充電によって3時間稼働(ウォーキングアシストの場合)させることができる。

そして、コンシューマ市場をターゲットとするにあたって同社が狙いを定めたのは、登山やトレッキング、ジョギングのようなアウトドアスポーツの愛好者と、筋力トレーニングに関心のあるフィットネスユーザーであり、趣味として運動を楽しむ人たちだった。

しかし、既存のエクソスケルトンデバイスの方向性から考えると、体力が衰えた高齢者などが山歩きをしたい場合にアシストするような方向性ならば理解できるものの、身体を鍛えようとする人間が、そのような補助装置を利用するとは考えにくい。実は、ここにスポーツメイト5のユニークさとビジネスチャンスがあり、負荷を減らすだけでなく、負荷を増やすモードも設けることで、運動効果を高める目的でも利用可能としたのである。

「アシスト=負荷の軽減」と固定的に考えるのではなく、筋力トレーニングにおいては「アシスト=負荷の増加」でもあるという逆転の発想から生まれたスポーツメイト5は、これからこの分野に参入しようとする企業にとっても、大いに参考になる製品といえるだろう。End