パッケージの使用を最低限に抑えた
伊ミラノの食料品店「Nudo」

▲Francesco Faccin, Ph. Veronica Camera, Studio Francesco Faccin

イタリア・ミラノでは、サステナビリティにこだわった新しい食料品店「Nudo」が2021年11月にオープンした。店舗の名称は、パッケージを必要最小限に抑えるというコンセプトから命名したそうで、街の中心に位置しながらも、大型店舗とはちがった手作り感のある店舗では、生産者と消費者の交流を促す購入体験ができるという。

▲Francesco Faccin, Ph. Veronica Camera, Studio Francesco Faccin

店舗デザインを手がけたのはStudio Francesco Faccinで、農作物を運ぶプラスチックケースを什器設計の基準とし、サプライチェーン全体のつながりをイメージ。そのモジュラーシステムにより、機能や見た目に合わせて、什器のスケールを柔軟に変更することができる。

▲©️Studio Francesco Faccin

▲©️Studio Francesco Faccin

「Nudo」では見かけを偽ることなく、何もかもが包み隠さずに置かれているため、原材料にも透明性のあるものを採用。粘土や木材、アルミニウム、漆喰、リノリウムなどは、品質の良さとシンプルさにこだわり、家庭的で親しみやすいが環境を作り上げている。

▲©️Studio Francesco Faccin

▲©️Studio Francesco Faccin

さらに、各地にできる店舗は、さまざまな要素を取り除いて、可能なかぎり元のスペースに戻した。そしてフローリングや壁、照明などのいくつかの要素のみを共通とし、街ごとの構成や建物の古さに合わせて変更可能とするなど、「Nudo」ならではの認識しやすいデザイン言語を作り上げた。

▲©️Studio Francesco Faccin

▲©️Studio Francesco Faccin

家具デザインは、縦にも横にも展開できる、シンプルで用途の広いシステムを開発。60cm x 40cmのプラスチックボックスをベースに、「ミツバチの巣箱」のようなデザインとした。壁にはアルミニウム製の「プラットフォーム」を設置し、商品を上に置くことで、汚れの付着を防いだりもできる。

設備についても包み隠さず、果物や野菜から出るエチレンを除去し、賞味期限を延ばす「光触媒」装置も設けるそうだ。

そのほか、スペインの画家 フアン・サンチェス・コタン(Juan Sánchez Cotán)による野菜を吊り下げた静物画をヒントに、プラスチックケースを介して顧客と農作物がつながる企業イメージを演出している。End