水上での離発着や船のように航行できる
飛行艇型ドローン「Hamadori」

水上発着型の無人機(ドローン)の開発・運用を行うスペースエンターテインメントラボラトリーは2022年1月11日(火)、本社登記を東京から福島県南相馬市に移転したことを発表した。

同社が手掛けるのは、飛行艇型ドローン「HAMADORI(浜鳥)」。水上での離発着や船のように航行もできる、これまでにない固定翼機である。第三者や人工物が少なく安全な河川や湖、海洋などの水域から離着水を行うことで、高い飛行性能を持ちながら、開けた平地の少ない日本では運用が難しい固定翼型ドローンの課題を解決することができるという。

さらに、過酷な洋上での使用を想定した耐環境性をもち、海水や潮風による劣化を防ぐため、機体全体を水洗いすることも可能。堅牢な構造であるだけでなく、可搬性や使用の簡便性を重視した設計となっている。

また、空中から水面や地面のセンシングを行うだけでなく、遠方まで進出したのち着水し、水面から水中のセンシングを行ったり、水質などの調査を行うことができる。船舶からの投入回収機構と合わせて活用することにより、外洋での運用もできる。

展開するのは2種類の機体。ほぼ実用化済みで、現在は事業化を進めている翼幅3,100mmの「HAMADORI 3000」は、約2時間の航続時間をもち、光学30倍ズーム対応の可視光センサ/赤外線センサを搭載する。自動オブジェクトトラッキングに対応、トラック対象の座標を表示・追従することで、効率的な救難・監視・観測ミッションが遂行できる。

一方、翼幅5,000~6,000mmの「HAMADORI 6000」は、多彩なセンサーに対応し、様々な観測・監視データが提供可能。水素燃料電池を搭載し、航続時間は約8時間、排他的経済水域までの飛行ができる。2021年度より開発に着手し、2022年度より試作機による実証実験を開始する予定だ。

今回の移転は、南相馬に国内最大の飛行空域や施設を完備した「福島ロボットテストフィールド」があり、開発・実験・検証・改良を迅速に行えるからだそうで、より地域に根付いた継続的な開発を目指すとしている。End