周辺エリアを楽しむ起点となる
「地域活性化型ホテル」が大分・別府で開業

▲南北に通り抜けできるエントランスホール(©︎Anna Nagai)

再生建築研究所は、大分県別府市において、新築14階建ての地域活性化型リゾートホテル「アマネク別府ゆらり」と、これに隣接する既存ビジネスホテル「アマネクイン別府」の設計を手がけ、2021年12月に開業した。

▲左:「アマネク別府ゆらり」外観、右:「アマネクイン別府」外観(©︎Anna Nagai)

▲「アマネク別府ゆらり」エントランス・ロビー(©︎Anna Nagai)

▲左:施設内で滞在中の行為が完結する従来型のリゾートホテル、右:周辺のコンテンツを楽しむ起点となる地域活性化型ホテル

同ホテルは、滞在中の行為が施設内で完結する従来型のリゾートホテルとは異なり、周辺エリアを楽しむ起点となる地域活性化型ホテル。再生建築研究所は、エリア全体の価値向上と地域活性化を目指して、ホテルとともに周辺の商店街店舗の再生も複数件手がけた。

▲和のぬくもりを感じられる落ち着いたデザインの客室(©︎Anna Nagai)

本館「アマネク別府ゆらり」は、三面接道と広い敷地を活かして、別府の街並と一体感のある低層部をもつ。エントランス・ロビーは、別府の伝統工芸である竹細工を想起させる木格子で包まれた吹き抜け空間と、開放的なガラス張りの空間とし、最上階にはサウナ付大浴場、屋上には温泉インフィニティプールを設けた。

▲別府の街が一望できる屋上の温泉インフィニティプール(©︎Anna Nagai)

他方、「アマネクイン別府」は、周辺の公園や商店街と新築の本館とをゆるやかに繋げるような低層部のデザインを目指した。1階にはコワーキングスペース、ランドリー、2階にはライブラリーとエステを設け、宿泊者は本館も含めて誰でも使うことができるという。

▲本館へもつながる新規エントランス(©︎Anna Nagai)

▲四方が路地に囲まれる配置としたことで、多様な開口部が周辺とゆるやかにつながる(©︎Anna Nagai)

▲一階ホテル受付兼コワーキングスペース(©︎Anna Nagai)

▲宿泊者は誰でも使える二階ライブラリースペース(©︎Anna Nagai)

さらに、ホテルでは、周辺を楽しんでもらうために、あえて夕食を提供しないというプログラムを導入。ホテル宿泊者は、客室のカードキーを使用して街の飲食店で支払いができる「HEYAZUKE(ヘヤヅケ)」というシステムを利用し、街全体を「ホテルの付帯施設」と捉えて街めぐりを楽しむことができる。

また、プロジェクトでは、洋服店として使われていた建物(旧エルザ)を改修。地域の交流が生まれる拠点として再生させた。竣工後は一時的に地域のギャラリーとして開放され、今後は飲食テナントが入居する予定だそうだ。End

▲一期工事改修後、前面ファサード(©︎Anna Nagai)

▲地域のギャラリーとして公開