古来から重宝された「烏梅」から
口紅を開発するプロジェクトが開始

日本唯一の「烏梅(うばい)」の製造元である奈良県奈良市の梅古庵は、烏梅作りを日本に残し、烏梅と紅花を使った伝統的な口紅の開発に取り組むために、CAMPFIREでクラウドファンディングを開始した。

烏梅は中国から遣唐使が持ち帰ったもののひとつで、梅の果実を伝統製法で燻製にしたもの。日本では、漢方薬の原料や染料として使われ、1300年の歴史があるという。

また、キク科の植物「紅花」と合わせることで鮮やかな紅色の染料ができることから、化学染料のない時代に欠かせない材料として重宝されてきた。衣類用の繊維を染めるだけでなく、口紅や頬紅にも使用されてきたそうだ。

しかし、明治時代に西洋から安価な化学染料が輸入されると、烏梅の需要は激減。最盛期には400軒あった烏梅農家は、戦後以降では同社のみとなり、1995年には文化庁の国選定保存技術に認定されている。

そこで同社は、日本唯一となった烏梅の技術を守っていくため、烏梅と紅花だけを使ったオーガニックで伝統的な口紅を復活させ、もう一度烏梅の需要を喚起することを目指している。

食品だけでなく、肌に直接触れる化粧品も成分の見直しが行われ始めているなか、アレルギーを持つ人や敏感肌の人へ向けた、低刺激で安全、環境にも優しい口紅の可能性があるとしている。

また、烏梅の生産地である奈良・月ヶ瀬では、高齢化により耕作放棄地が増えている。それらの田畑を利用して原料である紅花を栽培し、口紅を販売するなど、地域産業を興すと同時に田畑の有効活用を行い、過疎化が進む地域の再生を目指す考えだ。End