世界を独自に解釈し、幾何学的連続模様で表現する
アーティスト・中嶋浩子の新作インスタレーション

▲《Hilbert curve》 2021年 ©Hiroko NAKAJIMA Photo:Ken KATO

神奈川県箱根町のポーラ美術館では、「HIRAKU PROJECT VOL.12 中嶋 浩子 CONTINUUM|この世界を構成するもの」が2022年3月30日(水)まで開催中だ。

▲《不完全な連続体|Incomplete continuum》2021年©Hiroko NAKAJIMA Photo:Ken KATO

「HIRAKU PROJECT」は、芸術表現と美術館の可能性を「ひらく」ことを目指して展示を行うプロジェクト。第12回目となる今回は、この世界を独自に解釈し、幾何学的連続模様(パターンデザイン)を用いて空間を再構成して表現するアーティスト・中嶋浩子を紹介している。

同氏は、連続的な自然現象や何らかの条件下で起こる事象を、数学的公理や概念から生まれる人工的な幾何学的形態を用いて再構築し、「CONTINUUM:連続体」として表現している。

展覧会のタイトルは、中嶋自身が幼少期から漠然と抱いてきた、「この世界を構成しているものとはなんだろう?」という問いから生まれた。これを制作のコンセプトとし、「見えないけれど、確かに在る連続する世界(空間)」を証明するもののひとつとして、数学の空間充填曲線(平面や空間の一部分を埋め尽くす曲線)を空間に展開した作品を作り上げた。

▲《不完全な連続体|Incomplete continuum》2021年©Hiroko NAKAJIMA Photo:Ken KATO

また、幾何学的な連続性の中に「ズレ・変則・欠如」を感覚的に取り込み、新たな視覚表現として平面や空間に展開するが、そこには同氏がヨーロッパ滞在時に実感した、日本独自の不完全なものへの美意識があるという。

展示空間には、形、色、線などで表現された、連続体の一部をクローズアップした平面作品と立体作品がある。これらは、別の次元を行き来しながら連続を構成するための要素(ピース)として挿入されているそうだ。同展では、こうした中嶋の作品世界が楽しめるだろう。End

▲《構成のための作図01》2021年 ©Hiroko NAKAJIMA Photo:Ken KATO

HIRAKU PROJECT VOL.12
中嶋 浩子 CONTINUUM|この世界を構成するもの

会期
2021年9月18日(土)~2022年3月30日(水)
会場
ポーラ美術館 アトリウム ギャラリー
詳細
https://www.polamuseum.or.jp/sp/hiraku-project-12/