腐敗した有機物から再生を考える
Andrea Shin Lingのインスタレーション

▲photo by Gabriel Li

建築家・アーティストで研究者としても活動するカナダのAndrea Shin Lingのインスタレーション「Calculus of an infinite rot, part 1」が、トロントのThe Rhubarb Festivalにて行われた。

▲photo by Gabriel Li

このプロジェクトは、有機物を腐敗させたものをデザインするという試み。腐敗と再生を一対のものとして考え、新しい作品を生み出そうというのがねらいである。素材として使用したのは、カエデやトウヒの倒木から得た34本の切り株。さまざまな仕上げを施したあと、菌類やバクテリアを植え、会場で1か月間培養した。

▲photo by Gabriel Li

▲photo by Gabriel Li

▲photo by Gabriel Li

この作品は、バイオロジカルデザインとデジタルデザインを通じて、敏感な生きた素材を生成するという、Lingが取り組むテーマのメインとなるもの。また、パフォーマーにとっては、2年間のコロナ禍を経て活動を再開することが求められており、Lingの作品がこうしたパフォーマンスの生きた舞台装置にもなっている。

▲photo by Gabriel Li

▲photo by Gabriel Li

Lingは「『Calculus of an infinite rot, part 1』は、腐敗は生命や全体が大きく欠けてしまったものではなく、生きた状態から死んだ状態への移ろいのなかでの語り合いであるという、哲学者レザ・ネガレスタニ(Reza Negarestani)の立場を反映したものです」とコメント。

さらに、「腐敗と再生は一対のプロセスであり、あるシステムのエントロピーが別のシステムを組織するために使われます。腐敗することで、人間や樹木、昆虫、微生物の違いがあいまいとなります。穴があいたり、臭いがしたり、汚れたりというプロセスのなかで、私たちの要素が他の生物の要素になり、その逆にもなるのです」と語っている。

▲photo by Gabriel Li, lighting design by Echo Zhou

また、フェスティバルのディレクターであるClayton Leeは、「Lingの作品は、現在についての懸念に取り組むとともに、数十年先の未来を見据えたテクノロジーと研究でもあります。彼女がフェスティバルのために制作したインスタレーションは、今現在に応答したものであり、他のアーティストたちもこれに応える作品を手がけました」と語っている。End

▲photo by Gabriel Li, lighting design by Echo Zhou

▲photo by Gabriel Li, lighting design by Echo Zhou

▲photo by Henry Chan, lighting design by Echo Zhou

▲photo by Henry Chan, lighting design by Echo Zhou

▲photo by Henry Chan, lighting design by Echo Zhou

▲photo by Henry Chan, lighting design by Echo Zhou

▲photo by Gabriel Li, lighting design by Echo Zhou